2022/03/02 国総研、福岡国道/定置式水平ジブクレーンで試験施工/生産性向上へ効果検証

【建設工業新聞  3月 1日 13面記事掲載】

国土技術政策総合研究所(国総研)と九州地方整備局福岡国道事務所は「定置式水平ジブクレーン」を使用した試験施工を福岡県小郡市の国道3号鳥栖久留米道路の橋梁下部工工事現場で実施している。国土交通省が主導し同クレーンの試験施工を行うのは九州では初めて。重量物や大型資材の水平運搬で人力による作業の負担を軽減している。国総研では施工状況をモニタリングしており、省人化・省力化による生産性の向上や働き方改革につなげたい考えだ。

定置式水平ジブクレーンはヨーロッパなどの建設現場では主流のクレーン。日本で一般的な移動式クレーンが必要な作業時だけ調達するのに比べ、一定期間は現場に据え置くため必要な時にいつでも使うことができる。操作は特別教育を受講すれば誰でも行う事ができ、目視しながらリモコンで行うため、オペレーターがつり荷に近寄ることができ視認性に優れ、安全性の向上も期待できる。

試験施工にはドイツのリープヘル社製のクレーン「53K/J」を使用している。ジブの高さは約30メートル、長さは約40メートル。電動で360度旋回でき、水平方向と上下方向にフックを移動させて物を運ぶ。2本掛け仕様時の最大つり荷重は2トンで先端部でも1トンをつることができる。総重量は54・8トン。国総研が約6300万円で購入した。

試験施工現場の「福岡3号思案橋川橋下部工A1外工事」では2月7日にクレーンを搬入し同8日に稼働を開始した。同25日には報道関係者に工事の様子が公開され、橋台躯体工の鉄筋組み立て作業で資材ヤードから組み立て箇所までの鉄筋材料のつり込みに使用されていた。工期は8月末となっており6~7月ごろまでクレーンを使用する見込み。

工事を施工する南組(小郡市)の坂田誉雄現場代理人によると「横幅が60メートルある橋台の現場のため、1カ所に設置して全体をカバーできるのは大きな利点」だという。

国総研は別の定置式水平ジブクレーン1台を使用し先行して北海道開発局発注工事で1月に試験施工を終えている。試験施工の作業内容や作業時間は記録し、作業状況は常時録画しており今後、これらを検証し適用条件などを整理して2022年度にも活用の手引をまとめる。福本仁志福岡国道事務所長は「生産性や安全性が向上し、肉体労働の負担が軽減され、建設現場でゆとりを感じてもらえれば」と話した。

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