2022/03/02 国交省/ICT施工、22年度に小規模工事へ拡大/中小企業の導入促進

【建設工業新聞  3月 1日 2面記事掲載】

国土交通省は2022年度から直轄工事に適用するICT(情報通信技術)施工の基準類の策定・改定状況を明らかにした。小規模現場に特化した施工要領を策定し、ICT施工の経験が少ない中小建設業者にも導入を促す。土量1000立方メートル未満のICT土工やICTのり面工などに適用を拡大する。構造物の出来形管理に関するICT施工は基礎工に適用を拡大し、橋梁上部工で試行を始める。

小規模現場に対応したICT施工の適用工種は、▽ICT土工(小規模土工)▽ICT床堀工▽ICT小規模土工▽ICTのり面工-の四つ。ICT床堀工は平均施工幅2メートル未満の小規模現場に適用を拡大。ICT小規模土工は土工量100立方メートル未満の全工事と、平均施工幅1メートル未満の全工事を対象とする。適用対象の設定に当たって地方自治体からの意見を反映しており、自治体発注工事での早期導入を促す。

通常のICT施工は起工測量から電子納品までの全段階で3Dデータ活用が求められるが、導入ハードルを下げるため一部の段階を選択可能とする。出来形計測で標準とする断面管理に加え、モバイル端末などで面管理も行った場合、工事成績で1点の加算を予定している。

「ICT構造物工(基礎工)」として矢板工と既製杭工でトータルステーション(TS)など光波方式、場所打ち杭工では地上型レーザースキャナー(TLS)などを用いた出来形計測を新たに認める。杭芯位置や杭径の計測時間を短縮する効果を見込む。「ICT構造物工(橋梁上部工)」の出来形管理は厳密な計測精度が求められるため、現場試行を踏まえ早期適用を目指す。

21年度から適用する「ICT構造物工(橋脚・橋台)」は「できばえ管理」と「ひび割れ管理」に関する基準を追記。「ICT路盤工」の加速度応答法を用いた締め固め密度の面的管理はデータ収集の試行を継続する。ICT施工に関する民間提案は21年度に20件あり、うち11件は基準類の改定などで年度内に対応する。

産学官で構成する「ICT導入協議会」の会合を2月28日に開き、国交省が対応状況を報告した。23年度の工種拡大の見通しも提示。構造物工のボックスカルバート工事や小規模工事の光ケーブル敷設工事などへの適用を検討する。

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