2022/03/07 森昌文首相補佐官/国土強靱化や海外展開推進/国民理解へ説明責任が重要

【建設工業新聞  3月 7日 1面記事掲載】

国土強靱化などを担当する森昌文首相補佐官が日刊建設工業新聞の取材に応じ、社会資本整備の在り方などで考えを明らかにした。森氏は公共事業について「投資規模の議論先行ではなく社会的ニーズに必要な事業量を正確にはじき出し、国民に理解してもらうアカウンタビリティー(説明責任)が重要だ」と表明。政府が重要分野に位置付ける国土強靱化は「これまでの取り組みを評価した上で、その都度、内容や目標を見直すことが大きな課題」と話した。

森氏は国土強靱化や社会資本整備、科学技術イノベーションの分野を担当する。国土強靱化や社会資本整備は社会経済活動の回復や安全・安心な暮らしの実現で重要な役割を果たす。森氏は事業全体を網羅するマネジメント手法の普及などを今後の課題に挙げた。科学技術イノベーション政策では、多様化するニーズを見据えた技術革新やスタートアップの育成を後押しするとともに、建設産業の取り組みにも期待した。

建設産業の役割について森氏は「度重なる災害への対応や地域の生活環境を守る担い手として不可欠な存在」と強調。国土の発展に貢献する産業であり続けるためにも、公共事業関係費は「額ありきではないが、企業が安定的に経営できる環境が必要だ」との見解を示した。政府が目指す新しい資本主義の実現に関し、建設産業も賃上げを目指す動きが顕在化。入札契約制度の取り組みなどを踏まえ、森氏は「『成長と分配』を加速していくことに誰も異論はないはず。この制度を呼び水とした好循環に期待する」と語った。

海外展開は「特に需要の高い東南アジアや南アジア、アフリカでどう貢献できるか」が課題になると指摘。質の高いインフラ輸出の拡大に意欲を見せた。

対外債務が増えている新興国や途上国もあるとして、「ファイナンス面の支援や、設計・施工のオペレーションとセットで、事業を一貫してマネジメントする仕組みが広がってほしい」と展望。「コンセッション(公共施設等運営権)のようなフィールドでいかに能力を発揮できるかが、日本企業に求められるミッションだろう」と話した。

マネジメントの重要性は国内にも共通するとし、「市町村はインフラ管理について正直手をこまねいているところ。思考の転換ができるか問われている」と問題提起した。

「宇宙や人工知能(AI)などの先進分野は国土づくりにさまざまな形で関わる」と述べ、科学技術イノベーション政策の重要性も訴えた。「土木分野は公共事業を通じスタートアップや大学との連携を促し、開発から実装までを支える仕組みができるのではないか。建設業が先頭を走ってほしい」と呼び掛けた。

日刊建設工業新聞の購読申し込みは、こちら

戻る