2022/03/10 関東整備局/総合評価実施方針まとめる/工事は人材確保と新規参入軸に制度見直し

【建設工業新聞  3月 9日 5面記事掲載】

関東地方整備局は、2022年度の総合評価方式を採用する入札契約手続きの実施方針をまとめた。工事では、若手入職者の確保と直轄工事への新規参入企業の増加を目的に、若手技術者活用評価型など一部評価形式を見直す。配置予定技術者の難工事施工実績や自治体が実施する優良工事表彰の評価対象期間を延長する項目も盛り込んだ。

8日に開いた総合評価審査委員会で明らかにした。工事の総合評価方式ではPDCA(計画・実施・評価・対応)サイクルで、制度試行後5年程度が経過した方式を精査した。

若手技術者活用評価型は、若手の活用率が横ばい傾向となっている一方で、受注者から「有効なインセンティブ」との評価もある。来年度は表彰や実績より若手活用に重点を置く配点とする。指導育成計画の提出も加点項目に盛り込む。管理技術者の若手活用を目的とする「技術者育成型」は19年8月の制度見直し以降、若手管理技術者を配置した落札が急増している。導入効果があると見て試行件数を拡大する。

自治体の優良工事表彰や工事実績を評価し、新規参入企業が受注しやすくする「自治体実績評価型」は、20年8月に総合評価方式全てで自治体の優良工事表彰などを評価対象に加えた。存在意義が薄れたため、より実績の無い企業の新規参入を促す制度に内容を見直し、「自治体実績チャレンジ型」に改称。優良工事や工事成績などの配点を高める。代わりに配置予定技術者の実績や表彰の配点を減らす。

配置技術者の難工事施工実績と難工事功労表彰はこれまで1年間だった評価対象期間を4年に延長する。主任(監理)技術者だけでなく現場代理人も評価対象に加える。対象となる技術者が自治体などの工事を担当すると活用できないなどインセンティブが限られ、業界団体から改善を求める声があった。

優良工事、優秀工事技術者の表彰対象期間は、公平性を高める目的で見直す。自治体の表彰は時期が異なる。これまで「当該年度の1年間(技術者の場合は4年間)」としていた評価対象期間は、加点対象として使えない場合があったため改善する。

不調不落対策として実施してきたフレームワークモデル工事や公募型指名競争入札も効果が出ていると判断し継続する。関東整備局のまとめでは21年度の全発注工事(1月末時点)935件のうち一般競争入札が66・7%。指名競争入札は公募指名などの活用で27・8%と前年度に比べ12・7ポイント上昇した。一般競争入札は全件を総合評価方式で発注。施工能力評価型が91%を占め、技術提案評価型は9%となっている。実施方針は8月1日公告分から。工事成績に関連する部分のみ4月1日から適用する。

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