2022/05/16 厚労省/一人親方の安全衛生対策強化、内容充実へ検討開始

【建設工業新聞  5月 16日 1面記事掲載】

厚生労働省は13日、建設現場などで働く一人親方の安全衛生対策を一段と強化するための検討を開始した。保護内容の充実に向け有害物質だけでなく、機械や器具の使用、掘削・高所作業などで適切な危険防止措置の実施を目指す。災害発生の実態を把握する仕組みや実効的な災害防止対策も模索する。一人親方だけでなくフリーランスや中小企業が安全衛生対策を適切に講じられるように支援策も打ち出したい考えだ。

労働安全衛生法(安衛法)の改正も視野に、一人親方にも危険防止策の順守を罰則付きで義務付けることも議論する。

同日に「個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討会」(座長・土橋律東京大学大学院工学系研究科教授)の初会合を東京都内で開いた。冒頭、武田康久労働基準局安全衛生部長は「災害防止に有効な対策を現場の視点から活発に議論し、個人事業者に対する安全衛生対策のあるべき方向性をまとめてほしい」とあいさつ。土橋座長は「働く人の安全を守るにはいろいろと検討すべき点がまだある」と指摘した。

厚労省は2021年5月のアスベスト訴訟最高裁判決を踏まえ、労働安全衛生規則など関係省令を見直す。有害物質からの保護対象に一人親方や材料・資材搬入業者などを追加。改正省令を4月に公布。23年4月1日の施行を予定している。検討会では機械の使用や高所作業などでも、保護対象に一人親方を追加するため議論していく。建設業の一人親方に限らず、IT分野のフリーランスなども対象に労働災害の実態を把握する仕組みや報告制度も検討。実効的な労災防止対策の立案につなげる。

検討会には建設業から▽建設産業専門団体連合会(建専連)▽全国建設労働組合総連合(全建総連)▽全国建設業協会(全建)▽日本建設業連合会(日建連)-の4団体の委員が参加。ある委員は建設現場の実態として「(元請企業にとって)労働者も一人親方も現場施工を支える仲間であり、現場で講じる安全確保対策に違いはない」と指摘した。

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