2022/06/15 東北整備局/スライド条項適正な運用へ説明会、6月16日青森皮切りに

【建設工業新聞  6月 15日 6面記事掲載】

資機材価格の高騰に歯止めがかからない状況を受け、東北地方整備局がスライド条項の適切な運用に向け説明会を開催する。青森県公共工事品質確保・安全施工協議会(大坂憲一会長)の要望を踏まえ、16日にウェブで「インフレスライド条項等説明会」を開く。東北整備局の担当者が手続きを含めた運用ルールなどを解説する予定。出先事務所の監督職員や県の担当者らも参加する。東北整備局では同様の説明会を各県に展開していく。

東北建設業協会連合会(東北建協連、千葉嘉春会長)は東北6県の会員を対象に、価格動向などの緊急アンケートを5月に実施した。結果によると、原油価格の高止まりや急激な円安の影響で多くの資機材は、実勢価格が設計単価を上回っていることが明らかになった。鋼材製品やアスファルト合材、型枠用合板などで納期遅延を訴える報告もあった。

調査した109件(公共工事63件、民間工事46件)のうち、スライド条項の適用経験があると回答したのは公共工事で約3割(63件中19件)だった。スライド条項は、2008年秋のリーマンショック後や東日本大震災の発生後に適用件数が増えた。ただ公共発注機関の中には制度運用に不慣れなところもあり、アンケートでは「発注者の担当者レベルでは適用協議に柔軟に対応できていないのが現状ではないか」との指摘もあった。

スライド条項の「経験あり」がゼロだった青森県は、5月20日に県の担当者によるインフレスライド条項の説明会を開いていた。同県は全資材で毎月、最新の物価資料の掲載価格を引用しながら、予定価格を設定している。ただ資機材価格の変動は激しく今後、スライド条項を適用するケースも出てくると考えられる。

先行きが不透明な状況を受け、東北整備局には100件を超える相談が寄せられているという。市場動向を注視しながら適切に協議し、申請の時機を逸したり過度な負担を強いたりすることがないよう、制度を運用していく方針だ。

東北建協連の通常総会の後、基調講演した東北整備局の中平善伸企画部長は「スライド条項の適用実績は少なく、理解も十分浸透していない。丁寧に応じていきたい」と話した。

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