2022/06/23 市況変動/資材価格高騰「影響あり」が9割超、静岡市が工事受注者に調査

【建設工業新聞  6月 23日 7面記事掲載】

静岡市は、原材料の品薄や物価高騰、物流停滞の状況下で、市の建設工事の受注者への影響や実情を確認するため実施したアンケート結果をまとめた。影響が「大きく出ている」と「少なからず出ている」を合わせると9割超が「影響が出ている」と回答。資材の平均上昇率は約2割だった。資材等の納期遅れ(調達難)は建築、設備で顕著。発注者に対しては、適正工期での発注や柔軟な工期延長、スライド条項の適用などを求める意見が目立った。

調査は、市ホームページにアクセスして回答する方式。施工中の受注者には担当監督員を通じて周知し、県建設業協会など関係団体を通じアンケートの協力を依頼した。質問項目は、▽原油価格や物価高騰の影響▽物価高騰の時期、価格上昇割合▽資材等の納期遅れ(調達難)の実態▽スライド条項の認識▽意見、要望-など。調査期間は5月26日~6月8日。回答数は151件。

原油価格や物価高騰の影響は、80件(53%)が「影響が大きい」、59件(39%)が「少なからず影響が出ている」と回答した。

物価高騰の時期は資材によって異なるが、今年1月以降とする回答が多かった。資材価格上昇割合が最も高かったのは型枠の平均3・3割増。次いで鉄筋が3割増、電線は2・7割増など。

各業種のうち、資材等の納期遅れ(調達難)の実態があると回答したのは建築、機械、管、電気、とび・土工、土木、舗装、造園。半導体不足などの影響で現在は建築や設備の分野で多い状況で、納期遅延期間は約3カ月とする回答が最も多かった。

市の工事契約では、物価等の変動に基づく契約変更の条項(スライド条項)が盛り込まれている。「スライド条項を認識し、必要あれば請求している(請求する予定)」と回答したのは68件(45%)。「認識しているが請求したことはない(請求はしない)」は55件(36%)。一方、「スライド条項の認識はなかった」とする回答も28件(19%)あった。

請求したことはない(請求しない)と回答した理由は「請求したいが手続きが分かりにくい」が12件(22%)、「請求したいが発注者に相談しにくい」が9件(16%)あり、スライド条項の適用に対する潜在的な需要は多い。「請求したいが、請求額が少額のため見送っている」とする回答も21件(38%)あった。

発注者に対する意見としては、確実な設計変更や適正工期での発注、工期延長など柔軟な対応、早めの発注と最新価格での予算作成など。スライドを簡単に請求できる仕組みづくりを求める意見もあった。このほか、物価高騰下での工事施工における実情、その中で実施している取り組みや工夫、対策の提案なども出されたという。市はこれらの意見を発注者間で共有し、今後の対策などを検討する際に活用する考えだ。

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