2022/08/31 特定技能/業務区分再編決定でJACが試験実施主体に、作業範囲拡大に対応

【建設工業新聞  8月 31日 1面記事掲載】

建設分野で特定技能外国人を受け入れる際の業務区分の再編・統合に合わせ、特定技能の在留資格を得るために必要となる試験が刷新される。これまで試験の作成・実施主体だった各専門工事業団体に代わり、新たな業務区分の▽土木▽建築▽ライフライン・設備-の3区分ごとに建設技能人材機構(JAC、三野輪賢二理事長)が試験を行う方法に変更。試験合格後に職種別の専門技能などを身に付けるため、JACと各団体が連携し訓練・研修を充実させる方向で調整する。

政府が30日、特定技能の在留資格制度に関する建設分野の運用方針改正を閣議決定した。建設業に関連する全作業をカバーできる緩やかな枠組みとして新区分を設定。従来の19区分以外の職種でも特定技能の受け入れが可能になった。

JACが主体となる新試験は年内にも開始する。これまでの試験では「学科」と「実技」の両面で技能を評価していたが、再編・統合後の試験内容は3区分ごとの一般的な知識を確認する程度にとどまる見通し。これを補完する形で訓練・研修を充実させる。既に決定している各団体による旧試験は予定通り実施し、2023年度から新試験に完全移行する。

在留資格申請には技能実習から切り替える方法もある。従来の19区分と技能実習職種がかぶらない場合は特定技能への移行が難しかった。新たな3区分ではさまざまな職種を柔軟に当てはめることが可能。技能実習からの円滑な移行も進展するとみられる。

業務区分が細分化されていた以前は技能者個人の業務範囲が認定職種に限られるという問題点も指摘されていた。

今後は3区分の枠内で多能工のような働き方が可能。例えば躯体工事に携わる際は建築区分の鉄筋、型枠、とびの各工事などに作業範囲が広がる。

受け入れる際に決められた特定職種であれば、複数の業務区分にまたがった作業も従来通り可能だ。鉄筋や塗装などの職種で受け入れられた場合、工事対象物が土木施設、建築物のいずれにも従事できる。

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