2022/10/20 財務省/資材高騰、「効率化で対応が基本」/公共事業への影響で見解

【建設工業新聞  10月 20日 1面記事掲載】

財務省は公共事業の執行で目下の課題となっている建設資材の価格高騰について「公共事業の効率化を進めることで対応していくことが基本」との見解を示した。資材価格はこれまでも継続的に上昇し続けていることを理由に挙げ、さらなるコスト縮減や生産性向上で対応していく必要性を強く訴える。資材高騰の影響で目減りする懸念がある公共事業のボリュームの確保を求める声が高まる中、財務省の主張が今後の予算確保にどう影響を及ぼすのか注視する必要がありそうだ。

19日に開かれた財政制度等審議会(財制審、財務相の諮問機関)財政制度分科会歳出改革部会で、財務省が社会資本整備の現状認識を説明した。「建設工事費デフレーター」(建設工事にかかる費用の相場を示す指標)によると直近1年(2021年7月~22年7月)の上昇率は5・0%。過去5年(17~21年度)の平均上昇率も2・4%と右肩上がりとなっており、継続的な価格上昇の根拠とした。

建設業の生産性向上に取り組む国土交通省の対応について「目標の達成状況や達成すべき指標が明確に示されていない」と指摘。i-Constructionやインフラ分野のDX、建設業の働き方改革の支援策など、過去の予算措置に対する具体的なコスト縮減や生産性向上の効果を明示することも求めた。

今後の公共投資の規模を検討する前提として「社会インフラは概成しつつある」との見解を改めて表明。「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」による予算規模の増加も考慮に入れる必要があるとした。これ以外の検討材料として建設業者の手持ち工事量が増加傾向にあり、他業種と比べて担い手の不足感が強い一方、労働生産性が低くデジタル化も進んでいないことも挙げた。

予算を重点的に充ててきた国土強靱化施策は、達成目標が施設整備率などの「アウトプット」にとどまっていると問題視。災害の被害低減効果など「アウトカム」を測定できるような評価手法や指標を検討するべきだと主張した。

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