2022/11/11 セメント上場大手2社/コスト高や円安で増収減益に、主力事業の赤字で苦境に

【建設工業新聞  11月 11日 3面記事掲載】

セメント関連上場大手2社(太平洋セメント、住友大阪セメント)の2022年4~9月期決算が10日、出そろった。セメント部門は両社とも売り上げを伸ばしたものの、ロシアによるウクライナ侵攻などを背景にした石炭など原燃料価格の高騰や円安が重くのしかかり、営業利益が減少した。23年3月期の通期業績予想を両社とも下方修正。住友大阪セメントは全体の営業・経常・純損益すべてで27年ぶりの赤字を見込む。本業のセメント事業を取り巻く厳しい環境が経営を苦しめている。

22年4~9月期のセメント部門の売上高は、太平洋セメントが2528億円(前年同期比12・2%増)、住友大阪セメントが650億円(5・9%増)となり、両社とも増収を確保した。本業のもうけを示す営業利益は太平洋セメントが74億円、住友大阪セメントが114億円でともに赤字となった。

セメント部門の通期業績予想は、両社とも営業赤字を見込む。業績回復の鍵を握るのがセメント販売価格の改定だ。太平洋セメントは1月に1トン当たり2000円を値上げし、10月から同3000円の値上げまたは石炭価格の変動影響の一部を上乗せする「石炭価格サーチャージ方式」の選択制を導入。住友大阪セメントは2月に同2400円、10月に同3000円の値上げに踏み切った。「値上げの進捗(しんちょく)遅れ」(太平洋セメント)などが業績予想の下方修正につながった。「5000円分の値上げを獲得しなければセメント部門が黒字転換できない」(住友大阪セメント)との声も上がる。値上げ交渉を進展させ、赤字幅の縮小を目指す。

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