2022/11/16 国交省/都道府県に重層下請の実態聴取、多くが建築3次・土木2次以内

【建設工業新聞  11月 16日 1面記事掲載】

国土交通省は技能労働者に適切な賃金を行き渡らせる方策を検討する一環で、都道府県の建設業行政担当部署などに各地域の重層下請構造の実態についての認識を確認するアンケートを行った。公共工事の下請次数は建築で3次以内、土木で2次以内にほぼ収まる。民間工事は実態把握が難しくなるものの、公共工事と同じく建築で3次以内、土木で2次以内になるとの回答が多かった。

公共工事は建築、土木ともに大規模工事や特殊性・専門性が高い工事で次数がかさむ傾向がある。民間工事を含めて繁忙期などの人員確保を理由に次数が増えるとの回答もあった。建築分野では公共工事よりも民間工事の次数が多くなるとの指摘も一部あった。

次数がかさんでしまう要因の認識も聴取した。建設業界の担い手不足を背景とした人員・機械の確保を要因に挙げる回答があり、「工期内完成のため再下請などで必要な労務を確保する必要がある」「大規模な土工事ではダンプの確保が難しく運送会社で重層化しやすい」といった声も聞かれた。「サッシやエレベーター、内装工事などで商社を1次下請とする傾向がある」との回答もあった。

重層化の弊害として、発注者目線で「施工に関する役割や責任の所在が不明確になりやすい」「現場の円滑な連絡・調整や情報共有に支障が生じる」との声が上がっている。「元請による施工体制台帳などの整理に時間と労力がかかっている」と現場管理業務の負担が増している実態もある。中間業者を挟むことで労務費や法定福利費へのしわ寄せを懸念する声が聞かれ、「下請への不払いなどが発生した際、元請に対する指導しかできない」と制度上の課題も指摘されている。

日刊建設工業新聞の購読申し込みは、こちら

戻る