2023/02/14 厚労省/24年4月から本足場使用を原則義務化、安衛則改正し規定

【建設工業新聞  2月 14日 1面記事掲載】

厚生労働省は2024年4月から、建設現場で本足場の使用を原則義務化する。設置に必要なスペース(幅1メートル以上)があるすべての現場が対象。狭い敷地や障害物などで本足場の使用が困難な現場では例外的に一側足場の使用を認める。つり足場を使用する場合も適用を除外する。必要な制度整備の一環で、労働安全衛生規則(安衛則)の改正案をまとめた。3月の公布、24年4月1日の施行を目指す。より安全な本足場の使用を促進し、墜落・転落災害の防止を図る。

加藤勝信厚労相が13日に労働政策審議会(労政審、厚労相の諮問機関)の清家篤会長に、安衛則を改正する省令案を諮問。同日に東京都内で開いた労政審安全衛生分科会で同案を議論した。ある委員は幅1メートル未満でも設置できる本足場が流通していることを踏まえ、本足場の使用条件を幅1メートル以上と規定することで逆行することがないよう注文を付けた。分科会は最終的に、省令案を「妥当」と判断した。

つり足場を含め足場からの墜落・転落災害が発生している事業場では、安衛則で義務付けている足場の点検が適切に行われていない事例が散見されるという。改正案には足場の安全確保に向けて、点検の徹底に向けたルールも規定する。事業者や発注者が点検実施者を事前に指名することを義務化し、実効性を確保。点検実施者の氏名を記録し、その足場を使用する作業が終了するまで保存することも義務付ける。点検に関するルールの規定は10月1日の施行を予定する。

建設業では労働災害が大きく減少しているが、現在も年間約300人が死亡。足場などからの墜落・転落災害は、建設業の死亡者数の約4割と大きな割合を占めている。

厚労省は、建設業における墜落・転落防止対策の充実強化に関する実務者会合(座長・蟹澤宏剛芝浦工業大学建築学部建築学科教授)を設置。足掛け5年の議論を経て、防止対策の強化に向けた報告書を昨年策定した。それを踏まえて、厚労省が安衛則の改正案をまとめた。対策の実行には経費の確保も重要な課題になる。国土交通省が設けた実務者検討会などで、安全衛生経費の適切な支払いに向けた方策を議論している。

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