2023/02/22 国交省、厚労省/職人基本計画の変更案作成、専門家会議が同意/就業人材多様化に対応

【建設工業新聞  2月 22日 1面記事掲載】

建設工事従事者安全健康確保推進法(建設職人基本法)に基づく基本計画の変更内容が固まった。適切な安全衛生経費の確保や墜落・転落災害防止対策の強化、就業人材の多様化を踏まえた職場環境改善などを推進する方向性を明記した変更案を、国土交通、厚生労働両省が作成。21日に東京都内で開かれた有識者会議「建設工事従事者安全健康確保推進専門家会議」(委員長・蟹澤宏剛芝浦工業大学建築学部教授)でおおむね同意を得た=写真。今後、最終案の意見募集などを経て政府が閣議決定する。

変更案には国交、厚労両省がそれぞれ設置した会議体で提示した安全衛生経費の確保策や墜落・転落災害の防止策の検討成果を盛り込んだ。元下請間で安全衛生対策の認識のずれを解消するため、安全衛生対策項目の確認表と関係経費の標準見積書の作成・普及を推進する方向性を追記。足場点検を確実に実施する措置の充実や一側足場の使用範囲の明確化などの具体策を明示した。

熱中症や騒音障害、感染症、石綿(アスベスト)ばく露を念頭に置いた健康確保対策の強化を新たに位置付けた。解体・改修工事では石綿使用の有無を確認する事前調査と、その結果に基づく作業の石綿ばく露防災対策を徹底する。女性が働き続けられる労働環境の整備、外国人労働者や高年齢労働者など、就業人材の多様化に対応した安全対策の必要性も明確化した。

冒頭にあいさつした国交省の長橋和久不動産・建設経済局長は、担い手確保に焦点を当てて労働環境改善に取り組む重要性を指摘。公共工事設計労務単価が11年連続で引き上げとなったことに触れながら「こうした動きが直轄工事だけでなく地方自治体発注工事や民間工事にも広がり、現場の皆さまの処遇改善、働き方改革につながるよう取り組む」と話した。厚労省の美濃芳郎労働基準局安全衛生部長は「今なお仕事中に亡くなる方は後を絶たない。労働災害をより減少させ、建設業が今以上に魅力ある職場となるよう努力する」と述べた。

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