2023/03/07 内閣官房/次期強靱化基本計画骨子案、防災インフラ整備管理を重視・建設人材育成も

【建設工業新聞  3月 7日 1面記事掲載】

内閣官房は今夏の閣議決定を目指す「次期国土強靱化基本計画」の骨子案をまとめた。中長期的に取り組む課題として、あらゆる関係者が協働する「流域治水」の取り組みや老朽インフラの予防保全型メンテナンスを一段と推進すると明記。政策の展開方向は国民の生命と財産を守る防災インフラの整備・管理を引き続き重視。地域の守り手として発災後の応急対応を支える建設業の人材育成も施策の一つに挙げた。

6日にナショナル・レジリエンス(防災・減災)懇談会(座長・小林潔司京都大学名誉教授、京都大学経営管理大学特任教授)の会合を東京都内で開き、議論のたたき台として骨子案を示した。骨子案によると、次期基本計画では▽人命の最大限保護▽国家・社会の重要機能維持▽国民の財産や公共施設への被害最小化▽迅速な復旧復興-の四つの基本目標を掲げる。

目標達成へ中長期的に取り組む課題に、流域治水など大規模災害への備えをより盤石にする取り組みを列挙。大規模災害が発生しても経済活動を継続できるよう道路網の機能強化やグリーントランスフォーメーション(GX)施策と連動した国土強靱化の加速に取り組むとした。官民連携や民間主導の取り組みの促進、地域主導の施策の充実と国による支援も重視する。

人材育成の観点では「インフラを支える人材は日本の宝である」という社会認識を高める必要性を指摘。インフラ関係分野でデジタル技術を活用していくため、リカレント(学び直し)教育を含めた人材育成が重要とした。

次期基本計画は4月にも実施する「脆弱(ぜいじゃく)性評価」の結果を踏まえ、分野別の国土強靱化推進方針を明示する。骨子案によると住宅・都市分野では中長期地震動の影響を考慮した超高層建築物の安全性の検証、大規模盛り土造成地などの安全性の把握、学校施設や文化施設、上水道・基幹管路などの耐震化に取り組む。国土保全分野では気候変動の影響を考慮した風水害対策の強化や、建設機械の自動化・自律化・遠隔技術開発促進を盛る。

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