2010/4/7 全国知事会PT/社会資本整備推進へ提言案/地方重視の事業評価へ転換を

【建設工業新聞 4月7日 記事掲載】

 全国知事会の「地方の社会資本整備プロジェクトチーム(PT)」(座長・広瀬勝貞大分県知事)は6日、社会資本整備の推進に向けた提言案をまとめた。提言案では、必要な社会資本整備を着実に進めるために、国の直轄事業については、費用便益比に偏重した全国一律の視点や基準による評価だけでなく、地方の実情に即した評価が必要だと指摘。予防保全型管理の導入による維持更新事業の低コスト化や、PFIなどの活用に向けた制度研究を国として推進することなどを訴えた。近く前原誠司国土交通相に提言を提出し、政府が6月にまとめる「新成長戦略」に盛り込むよう求める。


 提言案は、▽地域主権の実現に向けた社会資本整備の必要性▽効率的・効果的な社会資本整備のための仕組み▽重要な事業の早期供用に向けた取り組み▽国と地方の協議-の4部構成。効率的・効果的な社会資本整備のための仕組みについては、独自の事業評価の導入を提案した。現在の事業評価の仕組みは、画一的で限定的な効果しか評価できない費用便益比に偏重しているとして、今後は地方の意見や実情を反映した評価制度の構築が必要だと指摘。特に道路整備事業については、現行の「3便益」(走行時間短縮、走行経費減少、交通事故減少)による評価以外にも、貨幣価値への換算が難しい災害対策や救急救命率の向上、観光客の増加などの項目を加えて評価する仕組みに改めるよう求めた。


 地方の意見を事業に反映させる具体的な方法としては、直轄事業の新規採択時評価を行う社会資本整備審議会(社整審、国交相の諮問機関)や事業評価監視委員会への地方代表の参画などを提案。自治体が事業主体となる補助事業については、自治体の第三者委員会で審査を行い、国はその判断を最大限尊重するべきだと訴えた。


 さらにコスト縮減の観点から、各種施設の維持修繕や更新投資などを、現状の事後対応型から戦略的な予防保全型へと転換することや、そのための一括交付金制度を使った新たな事業の枠組みが必要だと主張した。地方の財政支出の軽減や平準化を目指し、PFIやPPP(公民連携)など民間資金を導入する手法の積極的な活用を可能にするため国が制度研究や先行導入の取り組みなどを加速するよう要請した。

日刊建設工業新聞の購読申し込みは、こちら

戻る