2011/12/16 国交省/保険未加入企業排除へ工程表/12年度から5カ年、3段階で指導強化

【建設工業新聞 12月 16日 記事掲載】

 国土交通省は、従業員を社会保険に加入させないことで経費を削減している「保険未加入企業」の排除に向けた工程表をまとめた。12~16年度の5カ年を3段階に分け、行政と元請・下請企業が一体となって公共工事や大規模な民間工事などを対象に保険加入の指導・徹底を進めていく。最終的には企業単位で許可業者の加入率100%、労働者単位で製造業並みの加入率達成を目指す。取り組みを徹底するため、全国の地方ブロックごとに協議会も設置する。
 
 
 国交省は15日に開かれた有識者会議「社会保険未加入対策の具体化に関する検討会」(座長・蟹澤宏剛芝浦工大教授)に工程表を提示した。各主体に求められる役割として、行政は建設業許可・更新時や経営事項審査(経審)時にすべての事業者に保険加入の指導を徹底する。関係業界団体は、定期的な加入実態の把握や計画的な加入促進策を進めるために「保険加入計画(仮称)」の策定を検討。元請・下請企業は保険加入計画や行政による重点実施の方策も踏まえて保険加入を推進し、自らの工事現場で下請の保険加入を徹底するとしている。
 
 
 3段階のうち第1段階の12~13年度に指導対象とする事業所や工事規模の考え方も明示。重点的に取り組む対象事業所や工事規模(重点的指導対象プロジェクト)を国と都道府県が決定するとした。事業所については、一定数以上の使用人や完成工事高を有する企業、経審の受審企業などの観点から決定。工事現場については、大規模工事(請負金額)や公共工事などから定めるとした。例として、事業所では使用人数がおおむね30人以上の事業所などを挙げ、工事現場では大臣許可業者が手掛ける公共工事や20億円以上の民間工事などを挙げた。
 
 
 第2段階(14~15年度)以降は実態に応じて指導対象となる事業所や工事の規模を引き下げていく。中間時点で各主体のそれまでの実施状況を検証・評価して対策の見直しなどを行い、実効性を担保する。取り組みの推進組織として、地方ブロックごとに国(国交省、厚生労働省)と業界団体で「保険未加入対策推進協議会」を設け、傘下に実務担当者によるワーキンググループを設置する考えだ。

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