2012/02/27 国交省/震災復興工事支援策をパッケージ化/大規模災害への対応力強化

【建設工業新聞 2月 27日 記事掲載】    1面記事へ/「復興JV」関連記事へ

 国土交通省は、今後発生が予想される首都直下地震や東海・東南海・南海の3連動地震などの大規模災害への対応力強化の一環で、東日本大震災の復興工事支援策のモデル化に取り組む。復旧・復興工事が進む被災地で深刻化する技術者不足や労務費の高騰などを受けて新たに取り入れた「復興JV」制度などの施策を中心に災害時の建設業界への支援メニューをパッケージ化し、どの被災地にもすぐに適用できるようにする。東北の被災地で試行を通じて施策のモデル化を進める。
 
 
 東日本大震災では、東北の岩手、宮城、福島の3県を中心に津波などによる壊滅的な被害が広範囲で発生。被災地全体の復旧・復興事業に対して今後5年間で約19兆円が投じられる見通しだ。膨大な量の工事が、短期間に集中的に発注されることから、技術者の不足や労務費・資機材価格の高騰などの問題が深刻化する可能性もある。被災自治体の発注工事では、これらが原因で既に入札不調が頻発するなど復興の阻害要因になることが懸念されている。こうした事態を受けて国交省は、地元自治体や建設業界団体などと「復旧・復興事業の施工確保に関する連絡協議会」を組織し、被災地と被災地外の業者が共同企業体を組んで復興工事に参加する「復興JV」制度や労務単価の見直し期間の短縮など、一連の対応策を先に打ち出した。
 
 
 同省の佐々木基建設流通政策審議官は24日、東京都内で開かれた建設業振興基金主催のシンポジウムで講演し、「首都直下や3連動地震などを見据え、新しい非常時の(復興支援)システムをつくっていきたい」と発言。復興JV制度など復興工事に対する一連の支援策を、今回の震災に限った特例措置にせず、パッケージ化して今後の災害にも適用していきたいとの考えを示した。
 
 
 今回の震災は、過去に経験したことのない規模で、復旧・復興工事では官民双方とも手探りの状態で対応策を探っているのも現状。被災地では今後もさまざまな問題が表面化してくる可能性もある。同省は、27日に再開する建設産業戦略会議などを通じて新たな支援策を検討する一方、今回創設・導入した対策についても現場のニーズに合わせて改良・拡充を図り、支援メニューをモデル化していく方針だ。

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