2012/03/30 社会保険加入確認-資格審査時が「有効」/9県が申請要件に設定/国交省

【建設工業新聞 3月 30日 記事掲載】

 建設工事競争入札参加資格審査の申請時に、建設業者が社会保険などに加入しているかどうかを確認する仕組みを導入している都道府県では、保険加入割合が比較的高くなっていることが国土交通省の調べで分かった。保険加入を資格審査要件に加えている都道府県は9県あり、うち8県では、雇用、健康、厚生年金の3保険すべてに加入する企業と3保険のいずれかに加入する企業を合わせた割合が94%以上と高く、保険未加入企業の排除に一定の効果があることが明らかになった。
 
 
 国交省は、12年度から従業員を社会保険に加入させないことで経費を削減する保険未加入企業の排除策を強化する。こうした状況を踏まえ、都道府県でも建設工事の入札参加資格審査で保険未加入対策を強化する動きが徐々に広がりつつあるようだ。
 
 
 2月末時点で資格審査申請の条件に保険加入を加えていたのは青森、岩手、秋田、愛知、鳥取、岡山、徳島、熊本、沖縄の9県。青森県は労働保険と社会保険に加入し、保険料に未納がない場合に資格審査の申請を認めている。岩手、愛知両県は健康保険と厚生年金保険の適用事業所であることを関係機関に届け出ていない場合などは資格審査申請ができない。鳥取、徳島両県は、資格審査申請時に労働保険料の納付証明書の提出を求めている。沖縄県は3保険への加入を資格審査の申請要件に設定している。熊本県は労賃の不払い、支払い遅延、労災保険料の納付を怠っている場合には2年間、入札参加者資格を認定しないことができるとし、秋田県は健康保険と厚生年金保険の加入義務のある事業所が未加入な場合には格付けをしない。
 
 
 9県の企業の保険加入状況を見ると、3保険すべてに加入する企業と3保険のいずれかに加入する企業を合わせた割合は、青森、秋田、鳥取の3県が99%、岩手、徳島の2県が98%、愛知、岡山、熊本の3県が94%、沖縄が83%だった。沖縄を除く8県は他県と比べ加入率が高水準となっている。3大都市圏別で比較しても愛知は東京の83%、大阪の85%に比べ加入率が高く、資格審査申請時の排除要件が有効に機能していると見られる。
 

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