2012/04/20 日建連/社会保険加入促進計画を策定/法定福利費の適正計上など5年間で推進

【建設工業新聞 4月 20日 記事掲載】

 日本建設業連合会(日建連)は19日、国土交通省が進める建設技能者の社会保険未加入対策を踏まえた「日建連社会保険加入促進計画」を策定した。会員企業は、下請企業や現場の新規入場者に対する保険加入状況の確認・指導や、法定福利費の適正計上などを推進。加入の進展状況を見て未加入の下請企業や作業員を排除していくことも盛り込んだ。行政にはガイドラインの策定や法定福利費の算出基準の作成、就労履歴管理システムの構築などを求めていく考え。
 
 
 経費節減のために従業員を社会保険に加入させない社会保険未加入問題では、国交省が有識者会議の「社会保険未加入対策の具体化に関する検討会」(座長・蟹澤宏剛芝浦工大教授)を設置。現状を放置すれば、建設技能者の処遇低下が進み、若手入職者の減少にも拍車が掛かりかねないことから、加入促進策に関する提言が先にまとまった。提言に盛り込まれたのは、未加入企業に対する監督処分強化や、行政と元請・下請団体などで構成する「社会保険未加入対策推進協議会」の設置、社会保険加入促進計画の策定など。促進計画については今秋までの策定が打ち出されたが、日建連は今回、これを先取りする形で計画をまとめた。促進計画の実施期間は、12年度からの5年間。
 
 
 計画によると、日建連として推進協議会へ参画し、元請企業の立場から加入促進に積極的に関与する。井上舜三労働委員長が委員として参加する予定。国が進める建設労働者の就労履歴管理システムの構築作業に協力し、実用化に向けた検討を進めることも盛り込んでいる。保険加入の費用を確保するための法定福利費の取り扱いも検討。民間発注者団体に対し、発注価格に法定福利費を確保するよう働き掛ける。適正工期の確保や重層下請の是正、低価格入札防止徹底も必要だとした。
 
 
 会員企業が実施するべき対策には、下請企業への周知・啓発や、下請企業や新規入場者に対する加入状況のチェックを挙げた。発注者の理解を得ながら適正な法定福利費を確保する一方、下請企業に対しては法定福利費を考慮した見積もりを指導。一人親方や偽装請負の適法性に関する確認・指導も盛り込んだ。17年度以降、加入が一定程度進んだ段階から、未加入企業や未加入作業員の排除にも取り組むとした。
 

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