2012/09/03 国交省/社会保険加入促進策の検討着手/優良業者に認証制度、手続き円滑化も

【建設工業新聞 9月 3日 記事掲載】

 国土交通省は、建設業者の社会保険未加入問題で、保険加入の促進に向けてインセンティブ付与につながるスキームの検討に乗りだした。保険加入の取り組みなどで優良な事業者を認証する制度のほか、加入手続きを円滑に進めるため、全国社会保険労務士会連合会との連携方策などを中心に検討を進める。スキームが固まった段階で、専門工事業団体などで試行することも視野に入れながら、導入効果や課題などを検証する。有識者や社労士、建設関連団体の関係者らで組織する「社会保険等の加入促進方策検討委員会」(座長・佐藤博樹東大大学院教授)を発足させ、8月31日に初会合を開いた。
 
 
 法令を順守し保険加入に適切に取り組んでいる建設業者を認証するスキームについては、主に製造業の分野で導入されている優良事業者認定制度などを参考にする。建設分野での制度設計に向けた課題を抽出。認証基準として、社会保険の加入状況のほか、人材育成や雇用、労働安全・衛生など、優良事業者と判断できる評価軸のあり方も探る。検討委のメンバーである全国鉄筋工事業協会、全国基礎工事業協同組合連合会、全国建設室内工事業協会などを対象に、認証スキームを試行導入することも視野に入れている。検証を通じて、各団体に加盟する建設業者で社会保険に適切に加入し、優良事業者であることを周囲がより理解しやすくなる仕組みを具体化していく。
 
 
 社会保険加入手続きの円滑化に向けた建設関係団体と社労士会の連携方策では、両者間の協力・提携関係のあり方を模索。その上で、保険加入時の事務手続きを代行する社労士に支払う費用に減額措置を講じるなど、手続き代行を依頼しやすくする方策を実施し、建設業者の負担を軽減する。制度の詳細を詰め、実証実験を行う方向だ。


 このほか、検討委では社会保険の加入徹底を促す周知・広報関連の施策も議論する。建設業向けに社会保険の必要性や活用方法などの情報を分かりやすく発信するツールとして、工事の発注者、元請・下請業者、建設労働者をより意識したリーフレットやポスターを作成する計画だ。一連の加入方策の具体化に向けて同省は来年度も継続して検討に取り組み、認証制度や加入手続きの円滑化方策などの支援スキームの改善・拡充を進める考えだ。
 

日刊建設工業新聞の購読申し込みは、こちら

戻る