2012/11/12 国交省/保険加入事業者の認定制度創設へ/3団体モデルにスキーム検討

【建設工業新聞 11月 12日 記事掲載】

 国土交通省は、建設労働者の社会保険加入促進策の一環で、保険加入業者であることを「見える化」して外部にアピールするための認定制度を具体化する。8日に有識者や建設関連団体の関係者らによる「社会保険等の加入促進方策検討委員会」を開き、制度スキームのたたき台について議論。来年早々に、検討委に参加する三つの専門工事業団体で制度の実効性を確認する実証調査を行い、運用上の課題を抽出することにした。調査結果を踏まえて制度の詳細を詰め、来年度にも試行導入する考えだ。
 
 
 建設労働者の保険未加入対策が本格的に動きだす中、国交省は民間各社の対応を後押しするため、労働者の保険加入に積極的に取り組む優良業者の認定制度の創設を検討。啓発のためのリーフレットやポスターの作成なども進めている。認定制度では、審査項目として、▽保険加入の有無▽加入促進の取り組み(未加入者や協力会社への働き掛け)▽法定福利費の確保▽就業環境の改善(人材育成、建退共制度への加入)-などを列挙。項目ごとに取り組み状況を評価し、レベル(等級)分けすることも視野に入れている。保険加入以外の企業活動も併せて評価することで、企業側の労働環境改善への意欲を高めたい考えだ。
 
 
 審査・認定を行う機関については、公正・透明性を担保する観点から、有識者などによる第三者機関を設置する方向で調整を進める。今回の認定制度では、国は直接的には関与せず、各団体が自立した形で継続的に運用することになる。運営上の課題として、費用負担のあり方や非会員企業の取り扱い、審査手続きの負担軽減などが指摘されている。モデル調査団体(全国鉄筋工事業協会、全国基礎工業協同組合連合会、全国建設室内工事業協会)への実証調査などを通じてスキームの最適化に取り組む。


 認定企業の周知では、各団体のホームページなどでの公表のほか、評価内容を明示したステッカーを労働者のヘルメットに張り付けるなどのPR方法を工夫する。保険加入業者であることを「見える化」すれば、元請や上位の下請業者などが認定企業に仕事を発注しやすくなる効果があると国交省はみている。

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