2013/02/06 国交省/技術者不足対策を全国に拡大/専任要件や常駐義務緩和、当面の措置通知

【建設工業新聞 2月 6日 記事掲載】

 国土交通省は、公共事業を柱とする12年度補正予算案などの執行によって全国で建設会社の技術者不足が深刻化するとみて、当面の対策を決めた。東日本大震災の被災3県(岩手、宮城、福島)を対象に実施している「同一会社の1人の主任技術者による5キロ以内の近接現場の兼任」を全国に拡大。現場代理人の常駐義務の緩和と、主任技術者または監理技術者の専任を要しない期間の明確化も再度周知する。5日付で各省庁や都道府県、建設業関連100団体に対策を「当面の措置」として通知した。都道府県には市町村への周知も要請した。
 
 
 工事現場を管理する主任技術者は1現場に1人の専任配置が原則。当面の措置では、これを緩和し、現場の間隔が5キロ程度以内の近接した工事(工作物に一体性や連続性がある工事または施工に当たって相互に調整を要する工事)を同一業者が施工する場合は、発注主体が異なっても、1人の主任技術者が2カ所程度まで現場を掛け持ちで管理することを認める。
 
 
 被災3県では、工作物に一体性や連続性がある工事に限定して運用していたが、全国展開に当たっては、施工で相互に調整を要する工事も追加した。具体的には、工事用道路を共有し、相互に工程調整を要する場合や、ある工事の発生土を別の工事で盛り土材として流用し、相互に土量配分計画の調整を要する場合などに主任技術者の兼務を認める。
 
 
 現場で請負人の任務を代行する現場代理人の常駐義務の緩和などについても「公共工事標準請負契約約款」の内容を再度周知する。具体的には、▽工事現場の運営・取り締まりなどに支障を生じない▽発注者との連絡体制が確保される-という二つの要件を満たすと発注者が認めた場合には常駐を要しないとする規定と、同一工事で現場代理人と主任技術者を兼務できる規定を挙げた。現場代理人と主任技術者を兼務する場合の事例として、工事に密接な関係があり、現場が5キロ程度以内の近接した工事を兼務している主任技術者は両現場の現場代理人も兼務可能としている。さらに工事の契約締結から現場施工着手までの期間などは主任技術者・監理技術者の専任配置が不要なことも各自治体にあらためて周知する。

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