2013/03/01 国交省/補正予算円滑執行へ対策強化/発注機関に相次ぎ通知

【建設工業新聞 3月 1日 記事掲載】

 公共事業を柱とする12年度補正予算成立を受けて国土交通省が、工事発注官庁や都道府県などに、建設会社が工事を受注・施工しやすい環境をつくるための対策を実行するよう相次ぎ通知を出している。総合評価方式の入札手続き簡略化と指名競争の活用による入札手続き期間の短縮などを求めたほか、ゼロ国債で発注する工事の受注企業が前払金分の融資の保証を受けられる特例措置も講じ、建設業関連団体にも周知した。こうした対策を円滑な事業執行につなげる。
 
 
 補正予算に盛り込まれた公共事業関係費は総額2・4兆円(国交省分は1・8兆円)。国交省は1・8兆円以外に13年度分の事業執行を前倒しして発注するゼロ国債2640億円も計上している。多額の事業執行を迫られる中、東日本大震災の被災地で深刻化している人手不足や資機材費高騰による入札不調・不落問題などが全国に広がる恐れもある。こうした事態に対処するため、国交省は関係省庁と都道府県、政令市に向けて2月26日付で事務次官名で補正予算に盛り込まれた追加の公共事業を可能な限り早期に執行するよう入札契約手続きの簡素化などを求める通知を出した。
 
 
 次官通達の円滑執行対策の柱は、▽総合評価方式の入札で提出資料を簡素化▽指名競争の活用による発注手続き期間の短縮▽発注ロットの大型化▽概算数量発注と詳細設計付き工事発注の積極活用▽企業の技術力審査・評価を効率化するために近接する同種工事での技術資料の一括審査方式の活用-など。技術調査課、地方課などはこれらの対策を使う場合の詳細な内容を加えて通知する。できる限り発注者と受注者の事務負担を軽減し、受注者が抱える技術者、技能者で円滑に施工できる体制を整えるのが狙いだ。
 
 
 さらに、ゼロ国債を活用して発注する工事についても受注企業が本年度内に前払金分の資金の融資を受けられるよう特例措置を講じる。ゼロ国債の工事では、13年度になって工事が始まらないと前払金を受け取れない。特例措置によって、ゼロ国債工事を受注した企業が金融機関から着工資金の融資を受ける際、公共工事前払金保証事業会社が前払金額の範囲内で全額を保証する。2月28日付で地方整備局や都道府県、各保証事業会社、全国銀行協会、建設業関連団体などに適切な運用を求める通知を出した。

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