2013/04/17 太田昭宏国交相/4団体トップと会談へ/技能者の賃上げ直接要請

【建設工業新聞 4月 17日 記事掲載】

 太田昭宏国土交通相は、18日に東京・霞が関の霞山会館で建設業4団体のトップと会談し、建設現場の技能労働者の賃金引き上げや社会保険加入の徹底などに取り組むよう要請する。国交相が団体のトップに対して賃金引き上げなどを直接要請するのは初めてで、極めて異例の対応となる。技能労働者の適正な賃金水準を確保し、恒常的な人手不足の解消につなげるのが狙いだ。
 
 
 東日本大震災の被災地を中心に復興工事の本格化で仕事が増え、技能労働者の不足とそれに伴う労務費の高騰が深刻化している。国交省は労務賃金の引き上げがこうした問題の緩和につながると判断。3月末に発表した13年度の公共工事の積算に用いる設計労務単価を、全51職種の全国平均(単純平均)で前年度より15・1%、東日本大震災の被災3県(岩手、宮城、福島)平均で21・0%それぞれ引き上げた。
 
 
 ただ設計労務単価は、公共工事の予定価格には反映されるものの、工事を受注・施工する建設業者が現場の技能労働者に支払う賃金まで保証しているわけではない。建設業者が安値受注を繰り返せば、増額された賃金も末端の労働者にまでは行き渡らない可能性もある。このため太田国交相が業界団体トップに対し、各会員企業が労働者への適正な賃金支払いを徹底するよう直接要請する。
 
 
 会談に出席する4団体は、日本建設業連合会(日建連)、全国建設業協会(全建)、全国中小建設業協会(全中建)、建設産業専門団体連合会(建専連)。各団体とも会長と副会長が出席する。太田国交相は雇用環境の改善に向けた技能労働者の賃金引き上げと併せ、労働者の社会保険加入促進やダンピング受注の排除徹底、東日本大震災の被災地での公共工事の円滑な施工体制の構築も要請する方針。4団体のトップもこれに応じて決意表明を行う予定だ。

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