2013/04/19 太田昭宏国交相/「技能労働者の賃上げを」/4団体トップに要請

【建設工業新聞 4月 19日 記事掲載】

 太田昭宏国土交通相は18日、日本建設業連合会(日建連)、全国建設業協会(全建)、全国中小建設業協会(全中建)、建設産業専門団体連合会(建専連)の4団体に、適正価格での受注、技能労働者への適正水準の賃金支払いと社会保険加入の徹底を要請した。東京都内で4団体の首脳と直接会い、13年度の公共工事設計労務単価を過去最大の上げ幅で設定したことを踏まえた業界側の取り組みを促した。業界側も強い決意で対応する考えを表明した。
 
 
 国交省は、13年度の設計労務単価を全51職種単純平均で全国では15・1%、東日本大震災の被災3県(岩手、宮城、福島)では21・0%それぞれ前年度より引き上げた。会談で太田国交相は、現場の技能労働者が減少している現状を踏まえ、「技能を引き継ぐ若者の確保は待ったなしの課題だ」と強調。その上で、インフラを維持し、安全・安心な国土の形成を業界に担ってもらうためにも、誇りを持てる職場にして若年労働者の入職を促進することが必要だと訴えた。その第一歩が、技能労働者の所得向上と、同省が力を入れる社会保険加入の徹底。太田国交相は「発注者と受注者、それを支える専門工事業が危機感を共有して取り組むべきだ」と述べた。
 
 
 震災被災地の復旧・復興、公共工事の迅速で円滑な施工体制の確保にも言及。深刻化する技能労働者不足の背景として、就業者の高齢化や若手入職者の減少といった構造的問題を挙げ、処遇改善に加えて入職促進策も検討していることを明らかにした。引き上げられた労務単価が実際の工事価格に的確に反映され、適正賃金が末端の労働者まで行き渡るよう、国交省は賃金水準のきめ細かな実態調査を実施。相談窓口となる専用ダイヤルも設置するなど万全の体制で取り組む方針だ。同省直轄工事だけでなく、地方自治体や民間の発注者にも、労務単価引き上げへの理解と協力を求めていく。
 
 
 4団体の出席者は次の通り。【日建連】中村満義副会長兼土木本部長▽山内隆司副会長兼建築本部長▽大田弘土木本部副本部長【全建】淺沼健一会長▽近藤晴貞副会長▽本間達郎副会長▽伊藤孝副会長【全中建】松井守夫副会長▽小野徹副会長▽豊田剛副会長【建専連】才賀清二郎会長▽内山聖副会長▽米森昭夫副会長。

日刊建設工業新聞の購読申し込みは、こちら

戻る