2013/05/28 国交省/担い手確保へ多様な入札契約のあり方検討/幹部会議、制度面で環境整備

【建設工業新聞 5月 28日 記事掲載】

 国土交通省は、省内幹部で構成する「地域の建設産業及び入札契約制度のあり方検討会議」(議長・鶴保庸介副大臣)を設置、28日に初会合を開く。建設投資の縮小で若年の技術者や技能者など担い手の確保が課題となる中で、入札契約制度面からどのような対策を講じることができるかを検討する。減災・防災、インフラ老朽化といった課題に対し、一般競争入札や総合評価方式など現行方式だけでは対処できないケースを想定して、多様な方式の中から案件に応じた適切な手法を選択できるようにするなどの環境整備を行う。会議は、鶴保副大臣、松下新平大臣政務官、佐藤直良事務次官、菊川滋技監、増田優一国土交通審議官、久保成人官房長など省内幹部10人で構成する。
 
 
 建設投資が大幅に縮小する市場環境下、受注競争の激化で過度に低い価格での入札が横行。それが下請業者へのしわ寄せといった形で影響を与えており、若年労働者の入職が進まないなど将来の担い手を確保する上での大きな課題となっている。一方、昨年12月の中央自動車道笹子トンネル(山梨県)の天井板崩落事故などをきっかけに課題となったインフラ老朽化に伴うメンテナンスへの対応や防災・減災への取り組みなどを含め、建設産業が地域を維持していく上で大きな役割を果たしていくことが期待されている。
 
 
 検討会議では、こうした視点や自治体の人材不足を補完するために、通常の工事請負に加え、発注者を支援する手法を含めて入札契約制度の側面からどのようなことが考えられるかを議論する。例えば東日本大震災の被災地でコンストラクション・マネジメント(CM)方式や地域維持型JVが導入されているが、「民間のノウハウを引き出し、技術開発を促進するような制度のあり方が、一つのポイントになるのではないか」(日原洋文建設流通政策審議官)としている。
 
 
 議論を経て制度的な方向性を提示した段階で、詳細な内容を中央建設業審議会(中建審)などの場を活用して議論することも想定。直轄工事発注での多様な方式の試行に加え、現在進行中のブロック監理課長等会議などを活用して自治体の意見を聴取し、それらを議論に反映させていくことも考えている。

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