2013/06/04 厚生年金加入-社員9割、その他2割/技能者の半数が未加入の可能性/建専連

【建設工業新聞 6月 4日 記事掲載】

 建設産業専門団体連合会(建専連、才賀清二郎会長)が会員企業などの社会保険加入状況の実態調査結果をまとめた。最も負担の重い厚生年金への加入率は、傘下団体の会員企業の社員は93・5%と高かったが、季節工や一人親方などの「社員以外」は23・3%、下請企業でも社員の加入率は74・0%に達したのに対し、社員以外は2・8%にとどまった。調査結果から、少なくとも半数の技能労働者は未加入の可能性があるとみている。
 
 
 調査は建専連を構成する正会員32団体に所属する企業とその下請企業を対象に実施。838社から回収した調査票を基に分析した。調査に当たった検討委員会の蟹澤宏剛委員長(芝浦工大教授)は、調査結果に対し、「未加入問題の解決に向けたロードマップが必要だ」と指摘している。
 
 
 厚生年金を代表例に加入状況を見ると、全体の加入率は社員が90・5%、社員以外が16・3%だった。医療保険の協会けんぽ、雇用保険もこれと同様の傾向で、社員は8~9割前後の高い加入率を示しているが、社員以外は1割台~3割弱と低い。社員以外は国民年金や国民健康保険の加入率も2~3割台にとどまる。会員企業の加入率は、下請企業に比べて総じて高く、重層下請構造の下位へいくほど加入率が低くなる傾向があるという。地区別に見ると、社員の加入割合は、社員以外よりも高いが、その格差は地域によってまちまち。関東、北陸、中部、近畿、九州は、社員と社員以外の加入率の差が大きく、数十倍開いているエリアもある。北陸、九州では、社員以外の加入率が10%に満たない状況になっている。
 
 
 こうした調査結果を踏まえて建専連は、「社員以外や下請企業の実態が、一般論として技能者の保険加入実態の上限値とみてよいのではないか」(蟹澤委員長)と指摘している。才賀会長は、未加入企業の排除を行わない限り、「処遇の改善や福利厚生の充実を図ることができない」と訴えている。今回の調査結果を、建設技能者の地位向上や適正評価、処遇改善などを実現する指針や方策を策定するための資料として役立てていく考えだ。

日刊建設工業新聞の購読申し込みは、こちら

戻る