2013/06/17 社会保険加入促進/経団連の協力で弾み/機関誌に対策紹介、研修会で説明機会も

【建設工業新聞 6月 17日 記事掲載】

 国土交通省は、建設技能労働者の社会保険加入を徹底する一環で、日本経団連(米倉弘昌会長)に協力要請した。建設業界で、加入促進の前提となる法定福利費を内訳明示した標準見積書の提出が9月にも一斉にスタートするのを前に、経済界のトップ団体の協力を取り付け、対策推進に弾みをつけるのが狙い。経団連側も国交省の活動に理解を示し、機関誌で対策の内容を紹介。地方経済界向けに開催する研修会で国交省の担当者が説明する時間を設けたりする要請に応じる方針だ。
 
 
 同省は今月7日、社会保険加入の徹底を図るため、経団連と日本商工会議所に加え、不動産協会、日本民営鉄道協会など民間工事の発注者が加盟する主要業界団体など計30団体に文書で協力を要請。社会保険加入では発注者の協力が不可欠なことを示した上で、標準見積書の活用に対する配慮とともに、適正価格による工事発注と適正工期設定などへ理解を求めた。
 
 
 文書による要請に続き、12日には、同省の日原洋文建設流通政策審議官と榎本健太郎建設市場整備課長が経団連の経済政策本部を訪問。要請文書の内容をベースに、同省の対策への理解と協力を重ねて求めた。直接訪問でも、国内建設投資の半分以上を民間発注工事が占めている現状を説明し、社会保険加入促進には民間工事発注者の協力が不可欠なことをあらためて強調。加えて、職人不足が深刻化する中、質の高い建設工事を円滑に施工するためには適正価格による工事発注と、適正な工期設定が必要なことも訴えた。国交省側の要請に経団連も前向きに対応していく考えを示し、機関誌への掲載や研修会での説明時間設定という形で協力していく考えを伝えた。
 
 
 社会保険加入の促進で国交省は、行政、発注者、元請企業、下請企業、建設労働者など関係者が一体となって進める「社会保険未加入対策推進協議会」を設置して各種の取り組みを展開。4月に開かれた協議会のワーキンググループでは、法定福利費の内訳を明示するために各専門工事業団体が作成する標準見積書の提出を9月ころから一斉にスタートすることを申し合わせている。同省は、これに向けて、各団体の標準見積書の内容をブラッシュアップする作業への支援や、発注機関への協力要請などの準備作業を進めている。

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