2013/07/09 国道18区間で災害協定業者が不足/東京・23区内、総合評価方式見直し影響か

【建設工業新聞 7月 9日 記事掲載】

 国が管理する東京23区内の国道31区間(総延長163・2キロ)のうち、半分以上に当たる18区間(96・4キロ)で大規模災害時に被災道路の応急復旧作業を要請する建設業者を十分に確保できていないことが分かった。6区間(27・7キロ)では災害協定を結んだ業者がなく、複数の業者が必要なのに1者しか協定を結んでいない区間も12区間(68・6キロ)ある。管理を担当する国土交通省関東地方整備局東京国道事務所は業者の追加選定を急いでいる。
 
 
 同事務所が管理する国道で、災害協定を結んだ業者がいない区間は、15、17、357号と357号バイパスに各1区間、254号に2区間の計6区間ある。協定締結業者が1者いるが、必要数に満たない区間が1、6、246号に各2区間、4、15、17、20、357号と17号バイパスに1区間ずつの計12区間に上っている。
 
 
 協定締結業者が足りない直接的な要因は、同事務所が4月に協定締結業者を公募した際、締結を希望した業者の数が前年度より4割以上も減少したことだ。同事務所は毎年、協定締結業者を公募選定してきた。同事務所防災情報課によると、締結希望業者数は11年度57者、12年度54者とほぼ同程度で推移していたが、13年度は30者と急減。このため、必要な数を確保できなかったという。希望業者が激減した理由ははっきりしていないが、国交省が昨年4月に総合評価方式の入札手続きを抜本的に改善した影響があるのではないかとみられている。
 

 見直しでは、入札参加企業を評価する項目の設定は、原則として「施工品質」に関わる項目とし、従来あった地域への「精通度」や「貢献度」、災害協定の締結などを評価する項目設定がなくなった。「工事成績や施工実績を重視する総合評価方式の見直し策が8月から本格運用されるのを前に、業者が災害協定の締結にメリットを感じにくくなっているのではないか」と防災情報課は推測している。同事務所は今月2日、協定締結業者を追加選定するため、希望者の再公募を開始した。24日まで申請を受け付け、8月上旬には締結業者を決定する。同事務所では、総合評価方式の入札手続きを見直した後も、自由設定の評価項目の中で災害協定などの実績を加点評価していく方針だ。

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