2013/07/10 鶴保庸介国交副大臣/入札多様化で価格偏重から脱却へ/発注平準化にも意欲

【建設工業新聞 7月 10日 記事掲載】

 多様な入札契約制度の導入へとかじを切った国土交通省で、省内の検討会議を議長として束ねる鶴保庸介副大臣が日刊建設工業新聞のインタビューに応じた。インフラの維持管理や大規模構造物の新設などそれぞれの工事の特性に適したさまざまな入札契約方式を取り入れ、行き過ぎた価格競争からの脱却などを図るのが制度見直しの大きな狙い。鶴保副大臣は「地域の建設業者が将来の経営計画をしっかりと立てられるようにしたい」と今後の制度設計の視点を示した。
 
 
 省内に設けられたのは「地域の建設産業および入札契約制度のあり方検討会議」。鶴保副大臣は、東日本大震災のほか豪雨災害なども頻発している中で「復旧・復興を担ってもらう地域の建設業界が疲弊している現状を改善したいと考えた」と設置の背景を説明した。会議で検討するのは、主に地域業者が担う維持管理工事や、大手ゼネコンなどが受注する新技術を導入する大型構造物の新設工事など、工事の種類によってさまざまな入札契約方式を使い分ける制度への見直しだ。
 
 
 鶴保副大臣は、それによって「行き過ぎた価格競争に陥らないようにする」と価格偏重の受注を改善する考えを示し、「良い建設業者に良い工事をやっていただける仕組みにしたい」と強調した。今後は、中央建設業審議会(中建審、国交相の諮問機関)や別途設ける有識者懇談会などの場を活用し、「早期に(具体的な制度設計に)取り組む」と表明。公共調達改革に関心を示している与党とも連携していく方針を示した。
 

 検討会議では、建設業者の受注量を年間を通じて安定させる発注の平準化も大きなテーマになる。鶴保副大臣は「予算執行のあり方にも満を持して踏み込んだ提案と受け取っていただきたい。しっかりとした制度を作ることで平準化は実現できる」と意欲を示した。地域建設業の経営については、「需要がいつまで続くのか、明確な答えがなければ先を見通すことができない」と述べ、経済全体を見据えて中長期的な建設需要の展望を示す必要性も強調した。

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