2013/07/19 日建連/労務賃金改善推進要綱を策定/下請契約に「適正賃金」特記

【建設工業新聞 7月 19日 記事掲載】

 日本建設業連合会(日建連、中村満義会長)は18日、技能労働者の処遇改善に向けた対応方針「労務賃金改善等推進要綱」をまとめた。工事の元請企業は、現場の技能労働者に適正水準の賃金が支払われるよう要請する文言を契約書の特記事項に記載して1次下請企業と契約。2次以下の下請に対しても、元請企業名の協力要請文書を行き届かせ、賃金の適正支払いを求める。社会保険加入に必要な法定福利費の全額を1次下請に支払うことも盛り込んだ。国土交通省が13年度公共工事設計労務単価を大幅に引き上げたことを踏まえたもので、日建連は、全支部で説明会を開き、要綱の趣旨の周知徹底を図る。
 
 
 要綱では、設計労務単価の引き上げについて、「労務費の高騰に苦しむ元請企業や下請企業の救済策と安易に受け止めてはならない」とした上で、「建設業の将来を取り戻すラストチャンスと捉え、業界を挙げて技能労働者の処遇を改善せねばならない」と強い決意を表明した。適正水準の賃金支払いに向け、元請が1次下請に見積もりを依頼する際、都道府県別の公共工事設計労務単価を交付。さらに、社会保険料の個人負担分や、技能や経験年数、資格などを勘案した適切な賃金を支払うよう要請することを契約書の特記事項に明記する。2次以下の再下請契約でも同様の要請を行うことを特記事項に盛り込む。社会保険については、元請が1次下請に対して、1次下請以下はそれぞれの再下請先に対して加入状況などを確認し、未加入の場合は加入を要請するとした。
 
 
 賃金の支払い状況調査も実施する。引き上げられた設計労務単価が適用された公共土木工事と公共建築工事の一部が対象。対象職種は、普通作業員やとび工、鉄筋工、型枠工など主要18職種とする。まず7月中に試行実施する予定。調査結果は国に報告する。
 

 要綱は、さらに、下請業者が何層にも連なり、労働者に賃金低下などの一因とも指摘される重層下請構造の是正にも言及。専門工事業の産業構造を改善する必要があると指摘し、重層化の改善を図る下請企業に配慮するよう会員に求めた。公共工事だけでなく、民間工事の発注者にも理解と協力を求めていくことも盛り込んだ。要綱は、18日に開いた理事会で了承された。

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