2013/08/08 国交省/14年度予算概算要求で基本方針案/停滞から「再生の10年」へ転換

【建設工業新聞 8月 8日 記事掲載】

国土交通省が、14年度予算の概算要求に向けて固めた基本方針案が7日明らかになった。日本を「停滞の20年」から「再生の10年」へと転換するための予算と位置付け、国土強靱(きょうじん)化や老朽インフラの戦略的な維持管理・更新、都市の国際競争力強化に向けて民間資金を活用した開発を推進。東日本大震災の復興事業も加速させるとしている。

概算要求に向けた主要課題として、▽東日本大震災からの復興加速▽国民の安全・安心の確保▽経済・地域の活性化-の3テーマを設定。それぞれの課題ごとに推進する施策を概算要求に盛り込む考えだ。震災復興の加速に向けては、特に住宅再建や高台移転などの復興まちづくりを急ぐ。インフラの復旧・復興事業が本格化し、今後、膨大な発注量が見込まれる中、引き続き迅速かつ効率的な施工を確保するため復興JV制度などの活用を推進。建設産業の担い手確保・育成にも努める。国民の安全・安心に向けては、南海トラフ、首都直下両地震への対策を推進。被害を最小化するために公共施設やビル・マンション、鉄道などの耐震対策や、大規模水害・土砂災害に備えた治水対策にも力を入れる。災害時の道路や航路などの広域啓開体制の構築も図る。

老朽インフラの維持管理・更新を戦略的に進める取り組みでは、ロボットなどを活用した次世代型マネジメントシステムを構築する。地域・経済の活性化に向けては、都市の国際競争力を強化するためにインフラ整備や都市開発を推進。インフラでは成田、羽田両空港間の移動時間を大幅に短縮する新鉄道「都心直結線」をはじめ、大都市圏の環状道路や国際コンテナ戦略港湾、首都圏の空港、新幹線などの整備を推進する。都市開発ではPPP・PFIを拡大して民間投資による大規模開発を喚起する。地方では住居・都市機能を集約する「コンパクトシティー」の実現に取り組む。

政府は14年度予算の概算要求に向けた基本方針として、公共事業費などの裁量的経費の要望基礎額を13年度(13・2兆円)から1割削減する見通し。ただ、要望基礎額の1・3倍を成長戦略などを実現するための追加要望枠として認めることも固めている。このため、裁量的経費は実質的に13年度の1・17倍要求できる。8日に閣議了解される予定だ。

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