2013/09/27 国交省/公共建築の見積標準書式に法定福利費内訳明示/10月から試行

【建設工業新聞 9月 27日 記事掲載】

国土交通省は、公共建築工事の見積書式に、法定福利費の事業者負担分を別途明記する新たな項目を追加し、10月1日以降に入札公告する官庁営繕工事で試行を始める。予定価格の算出に使う見積書式に法定福利費を明記することで、技能労働者の社会保険加入促進につなげるのが狙い。14年度から統一書式として他府省庁などの発注機関でも運用を始められるようにする。

改定書式の試行にあわせ、予定価格の算出に用いる四つの単価(材料単価、複合単価、市場単価、見積単価)のうち、「複合単価」と「市場単価」について、法定福利費に相当する補正も行う。複合単価は、下請経費の率を従来の中間値から上限値に変更。市場単価が法定福利費に相当する補正を実施する。これにより、予定価格は従来より1・5%程度上昇する効果があるという。

公共建築工事の予定価格算出に当たっては、1工種につき製造業者や専門業者など3社以上から見積もりを収集した上で単価を決めている。これまでは書式の中に法定福利費の事業者負担分を明示する欄がなかったため、「提示された金額が法定福利費を含むものなのかどうか分からなかった」(官庁営繕部)という。10月1日から試行する新たな見積標準書式には、見積金額の合計欄の下段に、法定福利費の内訳を記す個所を設ける。見積内訳の諸経費は法定福利費を除く金額とし、法定福利費を別途記す項目を追加する。

国交省は業界団体とともに進める社会保険未加入対策で、元請企業と下請企業の間で法定福利費の内訳を明示する標準見積書の提出が一斉に始まるのに合わせ、公共建築の見積書式も改正することにした。官庁営繕事業で先行的に試行を始め、他省庁などが参加する公共建築工事積算研究会での改定作業を経て、14年度には統一書式の運用を始められるようにする。統一書式は、国立大学を含む独立行政法人や自治体などの活用も想定されている。国交省は、新書式の運用が浸透していけば、民間を含めた建築工事に従事する技能労働者の社会保険加入促進への波及効果も期待できるとみている。

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