2013/09/30 国交省・吉田光市審議官/デフレスパイラル逆転を/点検・設計・補修一括発注検討

【建設工業新聞 9月 30日 記事掲載】

国土交通省の吉田光市建設流通政策審議官は27日、建設専門紙各社のインタビューに応じ、今後の建設産業行政の展開に向けた考え方を示した。安倍政権の経済政策・アベノミクスによって公共投資が拡大する中、過去最大の上げ幅となった13年度の設計労務単価を現場の労働者にまで浸透させたいとの考えを示し、「デフレスパイラルを逆回転させたい」と強調。東日本大震災の復興事業や2020年東京五輪に向けて堅調な建設投資が見込めるとして、担い手となる若者の入職も促進し「地域を守る足腰の強い建設業界に立て直しを図る」と決意を示した。

多様な入札契約制度の導入では、制度設計に当たって、特に需要が拡大するインフラ維持管理への対応を考慮。維持管理工事は1件の規模が小さく利益が出にくいのに加え、手戻りが多いといった課題を指摘した上で、「点検、設計、補修工事を一括で発注するなど、柔軟な発想が必要だ」との認識を示した。

05年4月に施行された公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)で、それまでの価格競争のスキームに品質確保が加わった入札契約の仕組みをさらに一歩進め、「中長期的な担い手の確保を大きな目的の一つとする」との考えをあらためて強調。来年の通常国会での法改正を目指し、地域の建設業者の活動を支える制度づくりを進めていく方針を表明した。

震災復興事業では、地域の建設業者に加え、全国規模で活動するゼネコンも活躍していることを指摘。「全国から人材や資材を集めて対応する機動力や高い技術力を生かし、CM方式を採用した復興まちづくりや除染事業にも対応していただいている」と評価した。加えて、国内外の建設市場で請負にとどまらない枠組みで他業界とも連携していくことも提案。特に海外事業では「しっかりと利益の上げられるビジネスモデルを作ってほしい」と今後の活動に期待を示した。

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