2013/11/14 建設政策研/社会保険未加入対策で提言/法定福利費の「別枠支給・事後精算」を

【建設工業新聞 11月 13日 1面記事掲載】

NPO法人の建設政策研究所(理事長・松丸和夫中央大学教授)は、建設技能労働者の社会保険未加入対策で、「標準見積書方式による下請業者の法定福利費確保に関する見解と提言」をまとめた。社会保険加入に必要な法定福利費の確保について、「別枠支給・事後精算方式」を導入するよう提案している。

法定福利費の確保をめぐっては、各専門工事業団体が、下請から元請に提出する見積書に法定福利費を内訳明示する標準見積書を作り、9月末に一斉活用を始めた。提言では、標準見積書方式について、見積書の提出を通じ業者間の対等・公正な取引ルールが確立される可能性があり、若年労働者の確保に向けた業界全体の取り組みにつながることなど評価すべき点が多いとした。

一方で、▽重層下請構造の下では2次下請以下の業者に法定福利費が行き渡らない▽見積書により法定福利費を確保しても労務費など他の工事費が減額される▽重層下請構造の下では支払原資(法定福利費)が「中抜き」される恐れがある-などの懸念を挙げ、その解決策として別枠支給・事後精算方式を提案した。この方式では、発注者が社会保険料の事業主負担分(法定福利費)を工事費とは別枠で元請業者に支払い、元請業者は各層の下請業者から法定福利費を一定時期(毎月末や工事終了時など)に工事費とは別に証明資料と共に実費請求してもらう。精算後に残額が生じた場合は、所定の手続きを経て発注者に返還する。

社会保険に未加入の事業所や未適用労働者がいる場合はその人数を明確化し、それらを含めて請求・精算することで加入を促進する。導入には会計法などの法制度整備が必要だ。韓国では、落札率が低いほど社会保険料の確保が難しくなる事情を考慮し、07年度から公共工事、08年度から民間工事でも国民年金と健康保険料を対象にこの方式が導入されているという。

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