2013/11/18 発注者責任を果たすための今後の建設生産・管理システムのあり方に関する懇談会 第1回「技術提案競争・交渉方式(仮称)」を国交省が新たに提示

「発注者責任を果たすための今後の建設生産・管理システムのあり方に関する懇談会」が
11月15日に開催された。
国土交通省の土井亨大臣政務次官からの挨拶に続いて、座長として東京大学大学院工学系
研究科の小澤一雅教授が選出され、事務局からの原案説明が行われた。
今回は2回に分けて配信を行う。


「国交省からの問題提起」
現在の課題として、以下の5点が問題提起された。
①建設業従事者の減少と高齢化の進行が説明され、特に監理技術者においては50%以上が
  50歳以上であり技術継承が大きな問題になっている。


②高度技術提案型における技術評点1位の会社が落札する率が約14%(7回実施のうち
  1回落札)であり、技術的工夫の余地の大きい工事で最も優れた技術提案を
  行った企業が特定されず価格要素で決まっている。
③従業者10名以上の中規模企業が特に地方部で大幅に減少し、小規模企業の割合が
  増加している。
④維持修繕工事は個別性が高く、仕様策定が困難であり尚かつ作業効率が上がりにくい。
  新しい積算基準の制定や資格の活用などを検討しなければならない。
⑤地方整備局の職員数が10年間で10%減少しているが、新たな業務が増え発注者の
  業務内容は多岐にわたっている。

「解決案の提案」
問題点に対して事務局から「多様な入札契約方式」として次の4点が提示された。
1)事業特性等に応じた入札契約方式の適用のあり方
2)技術力で企業を選定し、価格や工法等を交渉して契約する方式
3)若手技術者の配置を促す入札契約方式
4)地域のインフラを支える企業を確保するための入札契約方式


「1)、2)の方式について」
1)に関しては、総合評価方式を「施工能力評価型」「技術提案評価型」に二極化
することが総合評価懇で検討されていることと、「設計・施工一括発注方式」などが
紹介された。


2)に関しては、最も優れた技術を有する企業を選定し、価格や工法などを後から交渉する
「技術提案競争・交渉方式(仮称)」が新たに提案された。


「1)2)に対する委員からの意見」
これに対して委員から次のような意見が出された。
・交渉することはよいが技術で第1位の者をヒアリングした結果、良くなかった場合に
  第2位の者へ変更する条件を決める必要がある。
  今の総合評価方式は傾きが大きい者がチャンピオンになる方式であり、今回のように
  技術点が最高の者を選ぶのが正しいのかどうかという問題もある。
・これまでは価格や評価事項という外形的な要因に縛られてきたので、それを少し緩めて
  交渉に入れるのは良いことだと思う。
  ただし発注者が何の目的を持って交渉するのかを決めないと価格が高止まりして
  しまう可能性がある。
  今迄と違い、今後は業者が価格を懐に入れて交渉に臨むことになるので、現状では
  良い案を持ち合わせていないが、論点として提案しておく。
(第2回配信に続く)

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