2013/11/18 国交省/発注者責任懇が初会合/多様な入札契約、「交渉方式」は説明責任必要

【建設工業新聞 11月 18日 1面記事掲載】

国土交通省は15日、「発注者責任を果たすための今後の建設生産・管理システムのあり方に関する懇談会」の初会合を省内で開いた。事業の特性に応じた多様な入札契約方式を中心に議論。技術的工夫の余地が大きい工事などへの導入が想定されている「技術提案競争・価格交渉方式(仮称)」をめぐっては、交渉過程の説明責任を果たすことが不可欠として、発注者が一定の能力を持つことを明確にするルールの必要性が指摘された。

懇談会は、従来の「国土交通省直轄事業における品質確保の促進に関する懇談会(品確懇)」を引き継ぐ形で設置された。多様な入札契約方式を議論していた「総合評価方式の活用改善等による品質確保に関する懇談会(総合評価懇)」の検討も一部取り込み、適正施工分野、システム分野とその両方にまたがる維持管理分野を議論する。初会合では小澤一雅東大大学院教授を座長に選出。小澤氏は「維持管理の重要性が高まる中、将来にわたるインフラサービス体制を実現する調達制度の構築に向け基本に立ち返って議論したい」との考えを示した。

議題になった技術提案・価格交渉方式は、最も優れた技術を提案した企業を選び、価格や工法を交渉する方式。技術的工夫の余地が大きい工事に加え、発注者側の積算と民間側の見積もりがかい離することから適正な仕様の作成が難しい工事への採用も視野に入れている。国交省は、導入する場合は企業の選定や価格決定の手続き、公平性・公正性の確保などに留意すべきだとする論点を提示した。委員からは、発注者の能力を評価するルール作りに加え、交渉方式の歴史がある欧米各国の事例も参考にした委員会方式の活用なども提案された。交渉が合意に至らなければ、最初の選定で2番目だった企業と交渉に入るなどのプロセスづくりを求める意見も出た。

このほか、現場への若手技術者の配置を促す入札契約方式も議論され、各地方整備局で進めている試行の効果を把握するアンケートを実施することになった。災害協定を結ぶなど地域のインフラを支える企業に、平時にどのような業務・工事を担ってもらうかも論点として示された。懇談会は、12月の次回会合で中間取りまとめ、年度末に来年度に向けた取りまとめを行う。

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