2013/11/27 国交省/業界団体の自主活動認定へ/業法改正で制度創設、技能者の処遇改善加速

【建設工業新聞 11月 27日 1面記事掲載】

国土交通省は、建設業界の担い手確保・育成や契約適正化などの活動に自主的に取り組む業界団体に法的な「お墨付き」を与える新たな認定制度を創設する。年明けの次期通常国会への提出を目指す建設業法の改正案に盛り込む。業界共通の課題に、会員企業向けだけでなく業界全体を視野に中長期的視点で取り組む活動を後押しするのが狙い。団体の求心力回復と企業にとっての団体加入メリット拡大にもつながりそうだ。

国交省が認定の対象分野となる活動例として想定しているのが、本年度に入って多くの団体が力を入れ始めている建設現場の技能労働者の処遇改善に向けた取り組み。同省が13年度の公共工事設計労務単価を過去最大幅で引き上げたことを踏まえ、今年4月に太田昭宏国交相は業界団体トップに技能労働者の適正な賃金確保などを要請。これを受け、例えば日本建設業連合会(日建連)は7月に「労務賃金改善等推進要綱」を策定し、技能労働者の処遇改善の取り組みに本腰を入れ始めた。他の団体も同様の取り組みを始めている。日建連の推進要綱では、5年後に下請を原則2次までとするなど重層下請構造を大幅に是正する方針も打ち出している。

このほかにも、現場で若手に仕事のやり方を伝えるOJTに代わる社外研修OFF―JTの体系化などの活動が対象になると想定。「職人の適正な賃金確保や重層下請構造の是正、人材育成などに団体が自主的に取り組むことは業界発展への有効な手段になる」(青木由行建設業課長)として、業界が直面する課題への取り組みを幅広く対象にしていく考えだ。

活動に法的な根拠が与えられれば、担い手確保を狙った行政側の支援策なども受けやすくなるとみられる。認定要件の詳細などは、法改正案と併せて検討していくことになる。業界側は、認定対象となる活動を各団体の定款に新たに定めるなど、組織としての対応が必要になりそうだ。同省は「目先の利益を追求するだけでなく、中長期的に業界全体の課題に対し、会員、会員外を問わずに取り組むような活動を認定できるようにしたい」(青木課長)としている。

日刊建設工業新聞の購読申し込みは、こちら

戻る