2013/12/05 政府有識者懇/国土強靱化政策大綱素案/インフラ整備推進へ民間投資喚起

【建設工業新聞 12月 5日 2面記事掲載】

巨大災害に強くしなやかな国造りを目指す国土強靱(きょうじん)化の推進方策を議論する政府の有識者懇談会が4日開かれ、強靱化に向けた計画や施策の指針となる政策大綱素案が提示された。優先的に進める取り組みの一つにインフラの整備と老朽化対策を設定。PPP・PFIによる民間資金の活用とデータべース化による施設情報の集約・共有を図り、自治体や企業の取り組みを促す。20年東京五輪に向けた安全対策にも力を入れる。

政府は、国土強靱化基本法の施行を待って首相をトップとする閣僚級の「国土強靱化推進本部」を発足させる。同本部が今月中旬までに政策大綱を決定し、14年5月に最初の国土強靱化基本計画を決定する。その後、都道府県や市町村にも独自の強靱化計画策定と施策推進を促す。政府は自治体の計画策定を支援するガイドラインも今後整備する。

政策大綱の素案は同日開かれた内閣府の「ナショナル・レジリエンス(防災・減災)懇談会」(座長・藤井聡内閣官房参与)で提示された。素案によると、巨大災害が発生しても人命を守り経済活動の基盤となるインフラの被害を最小化することなどを基本目標に設定。特に配慮すべき主な事項として、▽インフラ整備への民間投資の誘発▽インフラ情報のデータベース化・オープン化▽20年東京五輪に向けた安全対策推進▽企業のBCP(事業継続計画)策定支援▽自治体向けの強靱化推進支援-などを挙げた。政府が今春に設定した45の「国家として起こってはならない事態」を回避するための施策パッケージ「プログラム」も推進。その一つに交通の大動脈の分断・停止機能を前提にした代替ルートの確保を例示している。

同日の懇談会では政策大綱素案のほか、強靱化施策を推進する府省庁向けの「大規模自然災害等に対する脆弱(ぜいじゃく)性の評価の指針」案も提示された。政府が国土の「健康診断」と位置付ける脆弱性評価は国土強靱化推進本部が担当。14年3月末までに各府省庁が行っている強靱化施策の達成度などを評価し、全体の進ちょくとともに対策が不十分な部分を把握して評価結果を基本計画に反映させる。

政府は、今月中旬までに政策推進大綱と同時に脆弱性評価指針も決定。14年5月に最初の基本計画を決定した後、次の基本計画に向けた脆弱性評価の検討を始める予定だ。

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