2014/1/7 14年仕事始め、各社トップあいさつ/需要拡大に期待感/生産性向上へ革新も

【建設工業新聞 1月 7日 1面記事掲載】

2014年の仕事始めを迎えた6日、建設業界各社ではトップが社員への年頭のあいさつを行った。昨年来の景気回復の兆しや公共事業費の増額などで、建設需要が近年になく高まっている中での新年のスタート。多くのトップが今後に期待を示す一方、人手不足の深刻化など先行きの不安材料も挙げた。顧客や社会に対する誠実な姿勢をあらためて求める声や、生産性向上による収益力強化を打ち出すメッセージも多かった。

「資材価格の高騰などで工事原価が1980年代のような高騰を見せている。こうした時こそ顧客と誠意をもって対話を重ねることが求められている」と指摘したのは鹿島の中村満義社長。大林組の白石達社長は「技術革新や経営改革を進めながらも、基本に忠実に、一つ一つ丁寧なものづくりを貫いていかなければならない」と訴えた。昨年末にグループのCSR(企業の社会的責任)ビジョンとメッセージを制定し、今月運用を始めた竹中工務店の宮下正裕社長は「社会と顧客の期待に応えていく」との方向性を示した。

大成建設の山内隆司社長は「従来のやり方からブレークスルーするには、考え抜くことや発想の転換が必要だ。初めての試みを成し遂げた者だけが進歩できる」と社員に一層の奮起を促した。清水建設の宮本洋一社長は「取引業者との信頼関係を基盤とした強固な施工体制を確保しつつ、革新的なイノベーションにより現場の生産性を向上させていく」と決意を語った。

前田建設の小原好一社長は、新たな収益基盤の確立に向けた「脱請負」の取り組みを加速させ、「インフラのコンセッション事業にも注力していきたい」と意気込みを語った。五洋建設の村重芳雄社長は「リスクマネジメントの重要性を認識し、責任を持った行動と対応に努めていく」、熊谷組の樋口靖社長は「復興整備後やポスト五輪をにらんだ対応も準備が必要だ」と述べた。

設備工事業界では、三機工業の梶浦卓一社長が「総合エンジニアリング力」を結集し、「顧客や持続可能な社会の構築に貢献していく」と宣言。創業70周年の節目の年を迎えた関電工の水江博社長は「新しい価値観を形成するには、現状意識の打破と行動改革が必要不可欠だ」と呼び掛けた。コンサル業界では、パシフィックコンサルタンツの長谷川伸一社長が「コンサルの枠を超えたコンサルタントとサービスプロバイダーの実現」を目標に掲げた。

2020年五輪関連では、競技施設の設計が始まるなど準備が本格化する。日建設計の岡本慶一社長は「さまざまな形で貢献していきたい」と決意を表明。三井不動産の菰田正信社長は「日本を再生する大きなチャンスだ。今年はそのために何をすべきかを明確化し、スタートダッシュをする年にしていかなければならない」と強調した。

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