2014/1/15 太田昭宏国交相/入札不調の主因は「実勢価格とのかい離」/最新単価活用を徹底

【建設工業新聞 1月 15日 1面記事掲載】

太田昭宏国土交通相は、14日の閣議後の記者会見で、公共工事の入札で頻発している不調・不落について、「人手不足が原因で生じているとは考えていない」との認識をあらたて強調した。その理由として、「(予定価格を見直した上で)再入札を実施して最終的には契約している」ことを挙げ、不調発生の主因は人手不足ではなく「予定価格と実勢価格がかい離していること」と指摘した。

国交省は、自治体の大型建築工事で特に目立つ不調・不落への対策を検討中。資材価格や労務費が高騰する中で、入札時の予定価格と実勢価格とのかい離をできるだけなくしていく考えだ。具体策としては、入札日直近の最新単価を使った予定価格の設定を徹底することなどを自治体に求めていく方針だ。対策の実施に向けて国交省は、全国の各ブロックごとに自治体との意見交換も重ねてきた。太田国交相は、入札時に適切な予定価格を設定することが「極めて重要なこと」と強調。「今年は毎月ウオッチし、適切な対応を取っていきたいと考えている」と述べ、予定価格の適正化に省を挙げて取り組んでいく考えを表明した。

公共工事の入札不調への対応に加え、建設業界の将来の担い手不足への対応策を検討するため、同省は14日に高木毅副大臣を座長とする建設産業活性化会議を設置した。同会議には、有識者、業界団体、教育界などの代表が参加。若年入職者の減少や技能労働者の高齢化など業界が抱える構造的な問題を話し合い、中長期の視点で新たな施策を検討する。

太田国交相は、インフラの維持管理や地域の災害時の対応などを担う人材の不足が懸念されると指摘し、「新卒者の入職に加え、いったん業界から離れた労働者に戻っていただくことも必要だ」と強調。教育訓練機能の強化や外国人の技能実習生の活用などを含めた幅広い視点で検討を重ね、今夏までに中間的な取りまとめを行うとの見通しを明らかにした。

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