2014/2/10 13年度補正予算成立-公共事業、円滑な執行が課題/財務相、発注方法に工夫を

【建設工業新聞 2月 10日 1面記事掲載】

経済対策として13年度補正予算が先週成立したのを受け、今後は予算に盛り込まれた公共事業の円滑執行が課題となる。7日の閣僚懇談会で太田昭宏国土交通相は、公共事業予算の早期執行と円滑な施工の重要性をあらためて強調。関係省庁や地方自治体とも連携し、市場実態を反映した価格による入札契約を推進する考えを表明した。麻生太郎財務相も入札契約手続きの簡素化や発注方法の工夫に取り組むよう要請。新藤義孝総務相は自治体に早期執行を要請していく方針を示した。

同日の閣議で安倍晋三首相は、4月からの消費税率引き上げで景気が下振れすることがないよう、経済を成長軌道に乗せていく必要性を強調。補正予算に盛り込んだ経済対策を「迅速、着実に実行に移してほしい」と関係閣僚に指示した。麻生財務相は、公共工事の早期・円滑な実施を求め、新藤総務相も地方自治体に事業の早期執行を要請していく考えを示した。

太田国交相は、円滑な施工を確保するために、今月1日に公共工事設計労務単価を改定し、50職種の全国単純平均で13年度単価比7・1%増(被災3県は8・4%増)としたことを紹介。これを工事の積算に迅速に反映させていくことが重要だと指摘した。円滑施工の確保に向けた太田国交相の発言を受ける形で国交省は、直轄発注機関や都道府県・政令市に対して同日、補正予算の執行に関する事務次官名の通知を出した。

この中では、事業に早期に着手する観点から、入札・契約手続きの実施に当たっては、▽総合評価落札方式の提出資料の簡素化▽指名競争入札方式の活用▽工事の種類や現場条件を考慮した概算数量発注▽詳細設計付き工事発注の積極的活用-などに取り組むよう要請した。最新の設計労務単価や技術者単価の活用に加え、工事現場に配置する主任技術者の専任要件を緩和し、10キロ程度離れた現場を1人の主任技術者が兼務できるとした措置の適用、発注ロットの大型化による技術者・技能者の効率的な活用も求めた。

入札契約制度をめぐっては、同日の参院予算委員会でも質疑が行われた。中川雅治氏(自民)がダンピング受注の弊害に対する見解を求めたのに対し、安倍首相は「下請や現場の職人のしわ寄せにつながる」との懸念を表明。設計労務単価の引き上げによる職人の処遇改善に加え、党内で進められている公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)の改正に向けた議論も注視しながら、現場の実態を踏まえて入札契約方式を見直す意向を示した。

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