2014/2/19 国交省/施工体制台帳作成、公共工事全受注者に義務化/手抜き・中間搾取排除

【建設工業新聞 2月 19日 1面記事掲載】

国土交通省が今国会に提出予定の建設業法や公共工事入札契約適正化法(入契法)などの一括改正案の概要が18日、明らかになった。一定規模以上の公共工事の受注者に義務付けている施工体制台帳の作成・提出を小規模工事にも拡大。維持更新工事などでも施工体制の把握を徹底し、手抜き工事や不当な中間搾取を防止する。入札金額の内訳提出も義務付け、見積もり能力がない業者の排除や談合の防止につなげる。

国交省は、建設投資の大幅な減少や受注競争の激化でダンピング受注や下請企業へのしわ寄せが発生していることを問題視。離職者の増加や若年入職者の減少など、将来にわたって工事の担い手不足が懸念されるため、自民党が議員立法での改正を目指す公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)による入札契約制度改革と連動して業法や入契法を一括改正する。ダンピング対策の強化では、「透明性」や「公正性」を掲げる入契法の目的に「ダンピング防止」を追加。入札契約適正化の柱の一つに位置付け、ダンピング受注の排除に取り組む。

建設工事の担い手を将来にわたって確保するため、建設業者や建設業界団体による担い手確保・育成と国交省による支援の責務を建設業法に明記する。これを踏まえ国交省は、技術者・技能者の教育訓練などに取り組む業界の自主的な取り組みを後押しできるよう、各団体の活動を調査・公表。建設産業界の教育訓練機関である富士教育訓練センター(静岡県富士宮市)の機能拡充も図る。維持更新時代に対応した適正な施工体制を確保するため、業法が定める建設業許可業種区分に「解体工事」を新設。事故を防ぎ、工事の質を確保する観点から、必要な実務経験や資格のある技術者を配置することを定める。

小規模工事を含めて適正な施工体制が確保されるよう、入契法で下請契約金額が3000万円(建築一式は4500万円)以上の公共工事の受注者に義務付けている施工体制台帳の作成・提出について、金額要件を撤廃。全受注者に「下請業者」「下請工事の内容」「工期」などを記載した台帳の作成・提出を義務化する。

建設業や公共工事から暴力団の排除を徹底するための条項も建設業法と入契法の中に整備する。建設業許可に排除条項を設けるほか、公共工事の受注者が暴力団員と判明した場合に発注者から許可行政庁に通報することも義務付ける。許可が不要な浄化槽工事業や解体工事業の登録規定がある浄化槽法、建設リサイクル法にも同様の排除条項を設ける。許可申請書の閲覧制度について、個人情報を含む書類を除外するなど必要な改正も行う。国交省は、これらの改正内容が地方自治体にも浸透するよう、「入契法が総務省との共管となっていることを踏まえ、改正法の趣旨を徹底して意識を変えてもらうことが必要」(毛利信二土地・建設産業局長)としている。

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