2014/6/24 通常国会閉会/国交省関係16法成立/担い手確保や都市機能集約、士法改正も

【建設工業新聞 6月 24日 1面記事掲載】

第186通常国会が22日に閉会した。国土交通省関係の法律では、政府提出(閣法)の11本と議員立法の5本が成立。建設業の最優先課題とされる担い手確保に向けた対策などを盛り込んだ議員立法の改正公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)と、閣法の改正建設業法と改正公共工事入札契約適正化法(入契法)が成立。「担い手3法」としてそれぞれの改正に規定されたさまざまな施策が今後、実行に移される。

改正公共工事品確法では発注者・受注者の責務を明確化。発注者が予定価格や低入札価格調査基準額を適正に設定することや、事業の特性に応じて選択できる多様な入札契約方式を導入・活用することなどを定めた。改正入契法では、ダンピング受注を防止するために受注者に入札金額の内訳書の提出を義務付けたり、受注者に義務付けている施工体制台帳の作成・提出をすべての公共工事に拡大したりする。改正建設業法では、老朽建築物の解体需要が増大する中、43年ぶりに許可業種区分を見直して「解体工事業」を追加した。

地方都市の中心部に職住機能を集める「コンパクトシティー」づくりを推進する閣法の改正都市再生特別措置法と改正地域公共交通活性化法も成立。改正都市再生特措法では、市町村があらかじめ決めた鉄道駅周辺などの区域に施設を誘導しやすくなる制度を整備。改正地域公共交通活性化法では、市町村が交通事業者と連携して街づくりと一体になった地域交通網を形成しやすくなる制度を導入する。

インフラの老朽化対策や防災・減災対策の加速を目的に、閣法の改正道路法と改正海岸法も成立した。改正道路法では4兆円超に上る高速道路の更新財源を確保するため、新築や改築に限っている立体道路制度を既存の高速道路にも適用できるようにし、高速道路の維持更新と都市再生事業と連携して進められるようにする。改正海岸法では、海岸堤防と樹林を一体化した粘り強い構造の「緑の防潮堤」を海岸保全施設に位置付けた。

建築関係では4本の法律が成立。閣法の改正建築基準法と改正マンション建て替え円滑化法、議員立法の改正建築士法と改正宅地建物取引業法(宅建業法)がそれぞれ成立した。建築基準法では、構造計算適合性判定(適判)制度を簡素化して建築主の負担を軽減。容積率規制も緩和し、容積の算定対象にならない床面積の用途にエレベーターの昇降路部分などを追加した。改正マンション建て替え円滑化法では、老朽化したマンションの建て替えを促進するため、建物と敷地を一括してデベロッパーなどに売却できる制度の要件を緩和。区分所有者の全員賛成が条件だったのを5分の4以上の賛成に見直した。

改正建築士法では、延べ床面積300平方メートル以上の建築物の設計業務について書面契約を義務化し、一括再委託(丸投げ)の禁止も定めた。改正宅建業法では、宅地建物取引主任者の名称を「宅地建物取引士」に改め、地位の向上につなげる。

日本企業のインフラ輸出を加速するため、閣法の株式会社海外交通・都市開発事業支援機構法も成立。資金と技術の両面で事業を支援する新会社の設立を定めた。

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