2015/01/16 国交省/年度末の工期集中改善へ/国庫債務負担を積極活用

【建設工業新聞 1月 16日 1面記事掲載】

国土交通省は、直轄事業で施工時期や工期末を平準化する取り組みに乗りだす。国庫債務負担行為をこれまで以上に活用し、単年度会計の下で3月に工期末を迎える工事が集中する現状を改善。受注者の裁量で契約から工事着手までに一定期間を置き、資機材調達などに充てることができる工期の柔軟な運用と組み合わせる。日刊建設工業新聞などのインタビューに応じた山田邦博技術審議官は「平準化で工期に余裕が出てくれば、機・労・材(施工機械、技能労働者、材料)が確保しやすくなり、生産性向上にもつながる」と強調した。

単年度主義の予算制度の下で行われる直轄工事は、3月に工期末を迎える工事が全体の半数近くを占め、年度初めの第1四半期(4~6月)は施工量が一気に減るのが一般的。年度を通じた施工量のばらつきは「作業員や資機材調達が偏る」(山田技術審議官)要因にもなっている。こうした現状を改善するため国交省は、14日に閣議決定した15年度予算案で、国庫債務負担行為の設定を推進する方針を打ち出した。発注時期に応じた翌年度への明許繰り越しの活用で4~6月に工期末を迎える工事も増やす。対象は道路の舗装や河川の築堤・護岸などの工事。これまでも国庫債務負担行為を設定して実施していた大規模工事だけでなく、15年度は、対象の一部に2カ年国債を設定するのをはじめ、「徐々に対象を増やすようにしたい」(同)考えだ。

東日本大震災の復興工事に限定導入し、その後の入札不調・不落対策で全国展開し始めた工事着手時期の柔軟な運用も、国庫債務負担行為とセットで標準的に取り入れる。通常1カ月以内としている契約日から工事着手まで期間を3カ月以内、または実工事期間の30%以内などとする。その間を資機材調達や労働者の確保、現場に専任配置する監理技術者・主任技術者の確保に活用してもらう。年度末工期では、こうした余裕期間の設定が難しいケースが多かった。

14年度補正予算案で設定したゼロ国債の活用を含め、平準化措置は調査・設計など委託業務発注にも取り入れる。各地方整備局には、予算執行通達で積極活用を促し、手続きも可能な限り簡素化する。施工時期の平準化は、改正公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)に基づく運用指針にも盛り込まれる予定。山田技術審議官は、直轄事業での成果を「発注者協議会などを通じて自治体にも促していきたい」と話している。

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