2015/01/20 日建連/社会保険加入促進へ要綱決定/標準見積書を尊重、未加入下請排除前倒し

【建設工業新聞 1月 20日 1面記事掲載】

日本建設業連合会(日建連、中村満義会長)は、技能労働者の社会保険加入促進に対する会員企業の取り組みをまとめた「要綱」を決定し、19日に国が開いた社会保険未加入対策推進協議会に報告した。発注者との間で社会保険加入に必要な法定福利費を適正に計上した金額での見積もり・契約を徹底すると表明。1次下請に対し、法定福利費を内訳明示した標準見積書の提出を求めることや、15年度以降は社会保険未加入の1次下請とは契約しないことも盛り込んだ。要綱は4月から適用する。

日建連は担い手の確保・育成には技能者の処遇改善をさらに進める必要があると判断。その一環として社会保険加入促進に対する会員企業の取り組みを「社会保険加入促進要綱」として定めることにした。要綱は会員企業の幹部らで構成する土木、建築の運営会議で審議。「足並みをそろえ、積極的に取り組む」と強い決意を示しており、日建連は「社会保険加入に対する具体的な動きにつながる」(有賀長郎事務総長)と期待している。

要綱は公共、民間の両工事が対象。12年4月に他の建設業団体に先駆けて策定した「社会保険加入促進計画」よりも踏み込んだ内容で、国が示した加入促進の目標を前倒しで達成する方針を打ち出した項目もある。具体的な取り組みは、▽適正な受注活動の徹底▽適正な法定福利費の確保▽社会保険加入の徹底▽元下契約での適正な法定福利費の確保▽雇用と請負の明確化(偽装請負の排除)▽未加入企業の排除―の6点で、これに行政への要望も加えた。

冒頭には、デフレ経済下で多発した低価格受注が「劣悪な処遇を招いた」として、適正な受注、契約を徹底すると明記。1次下請には標準見積書を提出させ、2次以下からも提出させるよう指導。法定福利費を必要経費とした元下請契約を結ぶと表明した。1次下請との契約時に、企業・労働者単位の社会保険加入状況を確認し、未加入なら加入徹底を指導。1次には、2次以下すべての下請に対して同様の対応を指導してもらう。

15年度以降は未加入の下請とは契約しない。さらに16年度以降は、1次下請に対し、再下請負契約の際に未加入の2次以下の下請とは契約しないことを徹底するよう指導する。1次下請に対する措置は国の目標より2年、2次以下に対する措置は同1年のそれぞれ前倒しとなる。技能者の処遇悪化の一因に「行き過ぎた重層下請構造」があるとして、1次下請に対し、再下請負契約を18年度までに原則2次以内(設備工事は3次まで)とするよう指導。職業安定法や労働者派遣法違反の防止や偽装請負の排除も徹底する。

行政には、▽加入しやすい制度の整備▽建設業許可・更新時の保険加入指導の徹底▽専門業者に対する加入指導の徹底▽標準見積書の理解・浸透と法定福利費の簡便な算出方法の作成▽加入実態を確認できる「就労管理システム(仮称)」の構築-を求めた。

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