2015/01/27 国交省/入札金額内訳書、誤記や総額相違は無効/業界・自治体に取扱周知

【建設工業新聞 1月 27日 1面記事掲載】

国土交通省は、4月1日からすべての公共工事を対象に入札金額の内訳書提出と施工体制台帳の作成・提出が義務化されるのを前に、国や地方の各発注機関、建設業界などに取り扱い方法などを周知した。記載事項(提出者名、工事件名)に誤りがあったり、入札金額と内訳書の総額に著しい相違が見られたりする場合は内訳書を原則無効にするといった同省直轄工事での取り扱いを参考として示し、各機関に対応を求めた。これらの義務付け規定は、昨年成立した「担い手3法」のうち、改正公共工事入札契約適正化法(入契法)に明記されており、4月1日に施行される。

入札金額の内訳書は、既に約4分の3の発注者が全部または一部の工事の入札で応札者に提出を求めているが、4月からすべての工事で提出が義務になる。見積もり能力のない不良・不適格業者や、見積もりもせずにダンピング受注を行おうとする業者の参入を排除するとともに、談合などの不正行為の防止につなげるのが狙いだ。

内訳書の提出は、4月1日以降に入札公告または入札者の指名を行う案件から義務付ける。国交省が自治体などに出した通知によると、内訳書は1回目の入札で提出させ、2回目以降も提出させるかどうかは各発注者の判断に任せる。提出された内訳書の取り扱いについては、入札を無効とするケースを列挙。低入札価格調査に当たって他の応札者の見積もり内容と比較するのに活用したり、談合の可能性が疑われる時に入札手続きを中止して公正取引委員会などに提出したりすることが考えられるとした。

通知文には、国交省直轄の土木工事用、建築工事用の内訳書のほか、初めて提出を求める発注者を想定して新たに作成した簡易な内訳書例も添付した。これらを応札者に提出を求める際の参考にしてもらう。施工体制台帳については、下請契約の総額が3000万円(建築一式は4500万円)以上の公共工事の施工者にはこれまでも作成・提出が義務付けられていた。今回の法改正によってこの下限額が撤廃されたことで、下請契約を締結する工事はすべて作成・提出の対象となった。

4月にこの措置が始まるのを控えて国交省は、台帳の作成者が監理技術者だけでなく、主任技術者になることも想定し、これまでに出した通知文や施工体制台帳等活用マニュアルを改正。記載事項に外国人技能実習生や外国人建設就労者の従事状況を追加することなども含めてあらためて周知を図った。近日中に、台帳、再下請通知書、施工体系図の作成例を国交省のホームページに掲載し、これらを作成する際の参考にしてもらう。全国建設業協会(全建)は、国交省が出した通知文や改正されたマニュアルを反映した「全建統一様式」の見直しを進めているという。

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