2015/04/28 国交省/自治体に工事平準化要請/債務負担の積極活用、発注事務軽減効果も

【建設工業新聞 4月 28日 1面記事掲載】

国土交通省は、年度末に偏る公共工事の工期を平準化するため、地方自治体に対し債務負担行為を積極的に活用するよう文書で要請した。債務負担行為を使うことで、通常なら工事量が大きく減る翌年度第1四半期を含めた工期設定を行うことを想定。年度末の現場のひっ迫を改善し、無理のない工期を実現する。翌年度の年度末に予定していた工事を年度当初に移すことも可能になるため、事業の前倒しと、一体発注による発注事務の軽減、大ロット化といった効果も見込まれる。

国交省は、15年度に各地方整備局の事務所が発注する予定価格3億円未満の舗装、築堤、建築の小規模改修を中心に、平準化目的で200億円の2カ年国債(債務負担行為)を設定。各地方整備局などに出した17日付の文書では、契約から着工までの間に余裕期間を設定することや、年度内の完了が見込まれない工事での翌年度債務負担(翌債)など繰り越し制度の適切な活用も求めた。こうした取り組みを地方自治体にも広げるのが今回の目的。文書は2種類で、都道府県と政令市に24日付で出した。建設業課長名で出した契約担当向けの文書では、債務負担行為の積極活用による適切な工期設定と施工時期の平準化を要請。都道府県には市区町村への周知も依頼した。各地方整備局からの文書では、各ブロックごとの地方発注者協議会で平準化を発注者共有の課題と位置付け、推進していく方針を明記した。

債務負担行為の設定や繰り越し制度の適切な活用によって、年度末にピークを迎えて年度当初に一気に落ち込む工事量の波をならす。人材や機材の実働日数の向上や、技術者・技能者が切れ目なく働ける環境の構築、生産性の向上などの効果が期待できる。都道府県などの発注工事は単年度工事が多いとされる。ただ、年度末までに終わらせようとすると、調達や工程に無理が生じる工事もある。債務負担行為の活用などは大規模な工事が候補になりそうだ。例えば出水期や積雪を避けるため2年に分けて年度末に実施していた工事を、年度末から翌年度の当初にかけて一つの工事として実施すれば、事業の早期化や発注回数の低減にもつながる。

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