2015/08/06 国交省/技術者配置「余裕期間は不要」の解釈明確化/入札参加拡大に効果

【建設工業新聞 8月 6日 1面記事掲載】

国土交通省は、公共工事の着工前に設ける「余裕期間」には、主任技術者や監理技術者の配置は不要とする解釈をまとめた。契約後、本格的に工事に入る前に建設資材や労働者を確保するなどの準備に充てる余裕期間に監理技術者などを配置することは、これまでも制度上は必要なかったが、解釈が明確になっていなかったことから、発注者によって配置を求めるケースがあったという。国交省は、建設業関係部局や発注担当部局に7月30日付で解釈を周知する文書を送った。余裕期間は、契約から工事着手までに「実工事期間の30%を超えず、かつ4カ月を超えない範囲」で設定する。

国交省は本年度から、供用開始時期などの制約が比較的緩やかな工事を対象に、余裕期間の設定を標準化。債務負担行為の積極的な活用とセットで運用し、発注や施工時期の平準化につなげることにしている。国交省の「監理技術者制度運用マニュアル」には、建設工事の開始日を建設業者が選択できるフレックス工期を採用する場合、「契約締結日から工事開始日までの間は監理技術者等の配置を要しない」と明記している。余裕期間についても、フレックス工期の場合と同様、制度上は配置が必要ないとされていたが、解釈の違いから一部発注機関で配置を求めるケースがあるなど、運用がまちまちだった。

今回の解釈明確化により、配置予定の監理技術者などが前の工事に従事している段階でも、余裕期間内に終了することが確定していれば、所属する建設会社が入札に参加できるようになるなどのメリットが出てくる。国交省は、「適正な施工確保のための技術者制度検討会」(座長・小澤一雅東大大学院教授)の議論を経て解釈を明確化し、通知文書にまとめた。今後、年度内をめどに改正する運用マニュアルでも明確化する。このほか、主任技術者や監理技術者の途中交代については、対象者の「死亡、傷病または退職」に加え、「出産、育児、介護」といったやむを得ない場合も認めることも明確にした。途中交代を認める工事として、マニュアルに明記されていない「工事の規模の大小にかかわらず一つの契約工期が多年に及ぶ工事」が含まれることも解釈に付け加えた。

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