2015/12/08 国交省/発注・施工平準化へ15年内に事例集作成/監理課長会議終了

【建設工業新聞 12月 08日 1面記事掲載】

国土交通省が、入札契約制度や建設業行政の課題について全国の都道府県の担当者と意見交換する15年度下期の「ブロック監理課長等会議」が全8ブロックでの開催を終えた。重要検討課題に挙げていた発注・施工時期の平準化では、都道府県の意向を踏まえ、国交省が本年度末までに事例集を作成することを決定。予定価格を根拠なく切り下げる「歩切り」の根絶に向けた取り組みも大きく前進し、歩切り実施団体が「ほぼゼロに近い状況が見えてきた」(国交省)と総括した。

下期の会議では、▽「歩切り」の根絶加速▽「くじ引き」落札の是正▽発注・施工時期の平準化-の三つを重点検討課題に据え、改正公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)など「担い手3法」の具体的な成果を出すことに力を入れた。

発注・施工時期の平準化をめぐる議論では、年間を通じて施工量が集中する冬季の「山」を抑えるため、都道府県側からは、第1四半期(4~6月)の発注を増やすなど発注時期の前倒しが有効とする意見が目立った。

平準化に対する自治体の財政当局や議会の理解を得るため、国の取り組みを求める声も上がったことから、国交省は平準化に工夫を施したさまざまな取り組みを集め、事例集にまとめることにした。会議での議論を通じ、平準化には一律の対策はなじまず、それぞれの自治体の発注状況などに応じて多様な手法を選択する方が効果的との感触を得たためだ。

平準化への取り組みを推進することも、国交省と全都道府県で申し合わせた。

歩切りについては、根絶に向けて各地で前進が見られた。7月時点で、歩切り廃止の方針を明示していなかった自治体が50団体あったが、都道府県が管内の自治体に個別聴取を行った結果、「1桁まで減少した」(国交省入札企画指導室)という。残る団体に対し、国交省は年明けに都道府県と共に直接訪問して見直しを働き掛け、本年度内の完全根絶を目指す。

ダンピング受注防止策の一環であるくじ引き落札の是正では、発生要因となっている最低制限価格の事前公表を実施している都道府県に国交省が見直しを要請した。

低入札価格調査の基準価格や最低制限価格を設定せず、ダンピング対策そのものを導入していない自治体に対しては、発注規模が比較的大きい団体へのアプローチを強めていく方針を国交省と都道府県で確認した。

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